【日医】医師の大同団結に向けた指標/日医綱領、代議員会で採択
日本医師会は6月23日、東京都内の日医会館で公益社団法人として初めて定例代議員会を開き、国民皆保険を基盤にした日医の基本的姿勢を表す「日本医師会綱領」を採択した。横倉義武会長は出席した代議員に「医師会が何を目標とするのかを明確にした指標」「医師の大同団結に向けた指標」と説明し、幅広い浸透を呼び掛けた。
綱領は日医綱領検討委員会の答申を受けたもので、日医の基本的な方向性を広く国民に約束し、あわせて綱領を踏まえた行動を医師会員に要請する内容。「日本医師会は医師としての高い倫理観と使命感を礎に、人間の尊厳が大切にされる社会の実現を目指す」と明記した上で、▽国民の生涯にわたる健康で文化的な明るい生活を支える▽国民とともに、安全・安心な医療提供体制を築く▽医学・医療の発展と質の向上に寄与する▽国民の連帯と支え合いに基づく国民皆保険制度を守る―の4つの条文を示し、誠実な実行を約束した。日医は2000年4月の定例代議員会で医師個人の規範となる「医の倫理綱領」を採択しており、今後は両綱領を「車の両輪」として進めたい考えだ。
条文1つ目の「国民の生涯にわたる健康で文化的な明るい生活を支える」は、国民の健康に役立つ生涯保健事業を体系化して進めることや、地域の医療を取り巻く社会活動や行政活動に積極的に関わる「かかりつけ医」の取り組みを想定している。
2つ目の「国民とともに、安全・安心な医療提供体制を築く」では、国民、医療提供者にとって望ましい医療体制の構築に向けて、かかりつけ医を中心に切れ目のない医療・介護を提供し、国民の健康と安心を支える意思を明示した。
また「医学・医療の発展と質の向上に寄与する」との文言は、日医と日本医学会が共に医学・医療の発展に寄与する姿勢を示した。
4番目の「国民の連帯と支え合いに基づく国民皆保険制度を守る」では、半世紀にわたり国民の生命・健康を守り続けてきた国民皆保険を今後も社会保障体制として確立させていくことへの意思を明記したもので、「国が誤った政策を取るようなことがあれば、それを是正し、わが国を正しい方向へ導くことこそが、国民の生命と健康を預かるわれわれ医師会の役割」(横倉会長)との思いを込めた。
横倉会長は代議員会後の会見で「綱領は日医が組織として国民に約束すること」と意義を強調。「公益性を高め、国民の健康を守る専門家集団として今後も頑張っていきたい」とも述べ、誓いを新たにした。(6/24MEDIFAXより)