【日医】刀折れるまで新自由主義と戦う/反TPPで日医・中川副会長  PDF

【日医】刀折れるまで新自由主義と戦う/反TPPで日医・中川副会長

 日本医師会の中川俊男副会長は9月14日、環太平洋連携協定(TPP)の交渉反対シンポジウムで、仮に交渉が妥結して国会も批准した場合の対応を問われ、「日医に入って8年、新自由主義と戦い続けている。刀折れ矢尽きるまで戦っていく」と述べた。また、「日医がコアメンバーとなっている世界医師会とも日常的に連携しながら対応している」とし、TPPの批准によって医療に関する無秩序な規制緩和の流れが強まることを阻止する意欲を示した。

 中川副会長は講演で、TPPは究極の規制緩和であり、安倍晋三首相の「国民皆保険を守る」という言葉では納得できないと発言。日医として考える▽公的医療給付範囲の維持▽混合診療は全面解禁しない▽株式会社を医療機関経営に参入させない─の「国民皆保険」の3条件を提示した。TPPに含まれるISD条項で、公的医療保険制度が参入障壁として訴えられ、健康保険法の改正を求められる危険性を訴えた。

 また、1985年のMOSS協議以来の米国からの市場化要望や、営利産業化に向けた国内の改革を説明。6月の規制改革会議での答申で、将来的な保険適用を想定していない選定療養である差額ベッドさえも拡大を検討していくような文言があったとして、混合診療の全面解禁に対する警戒感を示した。

 質疑では、埼玉県の医師会員から「現場では切迫感がないので、どういう運動を行えばよいのか、強いアピールをしてほしい」との要望が出た。中川副会長は「仮にTPPを批准しても、あまり変化はないかもしれないが、だまされてはいけない。この規制緩和の流れは止まらないし、米国は新薬の特許期間延長など、さまざまな要求を突き付けているので、安心はできない。われわれもさらに頑張っていきたい」と述べた。

 中川副会長が特別スピーチを行ったのは、TPP交渉参加に反対する大学教員や弁護士、主婦らの団体が主催するシンポジウム。農業関係者なども参加した。(9/18MEDIFAXより)

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