【日医】低線量被ばくと熱中症対策で提言/日医・環境保健委が答申
日本医師会の石川広己常任理事は3月12日の定例会見で、環境保健委員会がこのほどまとめた答申について説明した。答申は、環境における低線量被ばくと地球温暖化による健康影響について考察し、リスクを抱える住民などと関わる際のリスクコミュニケーションについて構築方法を提案している。
低線量被ばくについては、医師として行うX線検査やCT検査にも留意することを求めた。男性医師集団100人が放射線業務を28歳から開始し、22.5マイクロシーベルト/年の実効線量を5年間続けて被ばくすると1人はがん死するというデータもあり、医師にとって身近な健康問題として認識する必要性を指摘した。
リスクコミュニケーションとの関連では、2013年6−7月に日医会員1315名から回答を得たアンケート調査結果を盛り込んだ。放射線による健康への影響について質問を受けたことがあるという回答の割合は▽保育園医・幼稚園医22.2%▽学校医20.4%▽産業医24.5%▽その他の医師15.7%―という内訳。都道府県別にみると、福島県と栃木県で60%を超えていた。質問者の属性についてその割合をみると、小学生以上の子を持つ父母が44.7%と最も多く、乳幼児の子を持つ父母が43.5%、高齢者女性が37.3%などと続いた。
一方、熱中症については、診察または質問を受けたことがあると回答した割合は▽保育園医・幼稚園医73.7%▽学校医65.1%▽産業医80.0%▽その他の医師48.2%―となっている。都道府県別では秋田県81.8%、和歌山県75.0%、千葉県74.2%、群馬県74.1%、茨城県72.7%などが高かった。熱中症対策の対象者には高齢者を挙げる割合が大きかった。
熱中症について石川常任理事は「全国的に多くの質問などを受けている。医師は適切な対応を知っていなければならない」と指摘した。環境保健委が14年度、環境保健分野で医師が知っておくべき知識をまとめた冊子を作成することや、PM2.5の問題を取り上げることも報告した。(3/13MEDIFAXより)