【日医】「新自由主義の発想から脱却」/国民会議報告書で日医・横倉会長  PDF

【日医】「新自由主義の発想から脱却」/国民会議報告 書で日医・横倉会長

 日本医師会の横倉義武会長は8月7日の定例会見で、政府の社会保障制度改革国民会議が報告書をまとめたことに対する見解を述べた。混合診療の全面解禁など市場原理主義的な施策が報告書に盛り込まれなかったとして「新自由主義的な発想から脱却したことは特筆すべき」と評価するなど、いくつかの記載を肯定的に捉えた。一方で複数の改革案は引き続き留意が必要だとして警戒感も示した。

 日医は報告書がまとまった5日にすでに見解を発表しており、今回は発表内容に詳しい説明を追加する形の会見となった。

●日本の医療費「高い水準ではない」、記載を評価
 横倉会長は発表内容を読み上げた後、報告書に混合診療の全面解禁、保険外併用療養のさらなる拡大、セルフメディケーションに関する記載が見当たらなかったことについて「特筆すべき」と分析。また、「日本の医療費の対GDP比はOECD諸国の中で中位で、世界一の高齢化水準を踏まえれば決して高い水準ではない」と明記されたことに対し、「このように評価した政府の認識は初めてではないか」と指摘した。

 日医として留意すべき部分も言及した。国民の医療・介護へのニーズと提供体制の関係に関し、これまで地域の医療機関、医療従事者の献身的な努力で提供体制が保たれてきた経緯を挙げて「医療ニーズと提供体制の間に大きなミスマッチがあることが認識されるという記載には違和感がある」と報告書の表現に注文を付けた。

●ホールディング型、不採算病院の閉鎖懸念
 ホールディングカンパニー型の仕組みなどに触れている医療法人制度・社会福祉法人制度の見直しは「医療資源・介護資源が一定以上整備されている地域で、その機能が充実している場合は必要だと思う」と前置きした上で、利益追求によって傘下の不採算病院が閉鎖され地域医療が崩壊する可能性も否定できない点などを説明し、「病院の合併による巨大化は懸念があるし、規制緩和は慎重であるべきだ」と訴えた。

 医療・介護サービス提供体制の改革を推進するための財政支援策については「医療法による基盤整備とかかりつけ医の評価を含めた診療報酬上の手当ての双方を車の両輪として行うべき」と主張した。

 医療給付の重点化・効率化としてフリーアクセスの基本は守りつつ、緩やかなゲートキーパー機能の導入が盛り込まれていることについて、横倉会長は「まずはかかりつけ医を受診することが望ましい。多数の外来を受けることは病院側、特に勤務医の負担になる」と言及。「私としては(国民に)かかりつけ医を持ってもらいたいと主張してきており、フリーアクセスの制限とは受け取っていない」と述べた。

 また、後期高齢者医療制度に対する日医の立場を記者から問われ、「後期高齢者に限定した診療料が廃止されたことで、制度自体は定着していると理解している」と応じた。(8/8MEDIFAXより)

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