【日医】「市場原理主義の反省」が消失/日医・中川副会長、再生戦略で指摘
日本医師会の中川俊男副会長は8月29日の定例会見で、7月に政府が閣議決定した日本再生戦略について「政府、国民と協調してライフ成長戦略に貢献していきたい」と述べた。一方で「市場原理主義への反省が消失した」と指摘。公的医療保険範囲の縮小や公的保険外の民間サービスの拡大が示されているとし「医療の営利産業化を進めようとしている」と懸念を示した。
中川副会長は再生戦略と予算編成との関係について触れた「社会保障分野を含め、聖域を設けずに歳出全般を見直す」との再生戦略の文言について「小泉内閣による『聖域なき構造改革』の下、社会保障費が厳しく抑制されたが、その失敗を繰り返すべきではない」と反発した。
ライフ分野に盛り込まれた「公的保険で対応できない分野についても、民間活力を生かし」との文に対しては「今後、分野によっては公的医療保険で対応しないことを示唆している」と指摘した。「医療サービスと医療機器が一体となった海外展開」については「政府が組織的に医師の海外進出を支援する方針であれば問題」と警戒感を示した。「医療・介護システムをパッケージとした海外展開」には「医療は非営利だが、介護には営利企業が参入している。再生戦略は医療と介護をパッケージ化することで、医療の営利産業化を容認しているのではないか」と危惧を示した。
「行政区域単位の特区とは異なる機関特区の創設」に対しては「特区が点から面へと発展すれば、公的医療保険制度が全面的に揺らいでいく恐れがある」と指摘した。このほか、国民皆保険の堅持や患者・個人の情報保護を図ることを求め、医療本体への株式会社の参入や医療の営利産業化に懸念を示した。(8/30MEDIFAXより)