【新型フル】医師会や病院団体、製薬、卸も一丸で/新型フル特措法13日施行
新型インフルエンザや新たな感染症が発生しても健康被害を最小限にとどめ、社会・経済の破綻を防ぐことを目的とした特別措置法が4月13日に施行される。新型インフル発生時に政府と共に対策を取る責務を負う「指定公共機関」として、日本医師会や病院団体、医療機関だけでなく、武田薬品工業など複数の製薬企業や日本医薬品卸業連合会を指定するなど、感染拡大を抑制するため医療界が一丸となる態勢を取る。
13日に施行されるのは「新型インフルエンザ等対策特別措置法」。新型インフルのほか、急速に全国に蔓延する恐れのある新感染症を対象疾病にしている。鳥インフルエンザは特措法の対象にはならない。
特措法では、世界のどこかで新型インフルが発生した際、病原性が不明な段階でも政府対策本部を立ち上げる。新型インフルが国内に侵入し病原性が強い恐れがある場合、首相が「緊急事態宣言」を出す。その後は外出の自粛を要請したり、状況に応じて臨時の医療施設を開設し医療を提供するなどの対策を取る可能性がある。
特徴的なのは、新型インフル発生時に国・自治体と並んで責務を負う存在となる指定公共機関の顔ぶれだ。医療関係団体では日医、日本歯科医師会、日本看護協会、日本薬剤師会、日本病院会、全日本病院協会などが指定され、医療機関では国立病院機構や国立国際医療研究センター、日本赤十字社などが選ばれた。
加えて、武田薬品や第一三共、グラクソ・スミスクライン、テルモなど製薬・医療機器企業が指定された。ワクチンや抗インフルエンザウイルス薬を現場に運ぶ立場として卸連も入った。内閣官房新型インフルエンザ等対策室の杉本孝参事官によると、製薬企業などが指定公共機関になるのは「前例がない」。「指定公共機関に特別なことをしてほしいというわけではない。通常業務の範囲内で取り組めることをしてほしい。具体的な要請が行われることもあり得るが強制ではない」(杉本参事官)という。
●新たな行動計画策定へ
12日に施行日政令などの閣議決定をし、13日に施行した後は16日に開催予定の「新型インフルエンザ等対策有識者会議」に政府行動計画案を示す。政府行動計画は5−6月にも策定し閣議決定する。行動計画の細目事項となるガイドラインも作る。政府の行動計画を参考に都道府県も同計画を作り、市町村もそれに続くことになる。(4/12MEDIFAXより)