【新型フル】医師への「指示」も「罰則」はなし/新型フル特措法案
政府は3月1日、民主党の内閣・総務・厚生労働合同部門会議に、検討中の新型インフルエンザ等対策特別措置法案を示した。法案では、国や都道府県が必要だと認めた場合、医療関係者に対し、医療や予防接種に関する協力を「要請」することができる。医療関係者が正当な理由なく要請に応じないときは、特に必要だと認める場合に限り、その医療関係者に「指示」することができる。ただし、この点について医療関係者に対する罰則は設けていない。政府は今後、地方自治体との協議などを通じて最終的な法案内容を固める姿勢だ。
内閣官房新型インフルエンザ等対策室が示した法案では、厚生労働大臣や都道府県知事が医療関係者に要請・指示する場合、医療関係者の生命や健康の確保に十分配慮し、危険が及ばないよう必要な措置を講じなければならない。要請・指示する場合、国や都道府県は政令で定める基準に基づき、医療関係者に実費を払う必要がある。要請・指示に従った医療関係者が死亡したり疫病にかかったりした際は、損害を補償しなければならない。
医療機関や医薬品・医療機器製造販売業者などは、緊急事態の場合、医療行為を続けたり医薬品・医療機器を確保したりするために必要な措置をとらなければならない。
また法案では、国民は新型インフルエンザ対策への協力などに努めなければならないとした一方で、対策に関しては憲法が保障する国民の自由と権利を尊重しなければならないと記している。国民の自由と権利に制限を加える場合も、制限は「必要最小限のものでなければならない」としている。
罰則が適用されるのは▽医薬品など必要物資について知事が保管命令を出したのに、生産者や販売業者が物資を隠したり捨てたりした▽都道府県が臨時医療施設を開設したり、必要物資の保管を命じたりするために立ち入り検査をした際に、拒否・妨害した―などのケースになる。(3/2MEDIFAXより)