【救急】救急出動件数、3年連続で増加/12年版消防白書
総務省消防庁が12月7日に公表した2012年版消防白書によると、11年の全救急出動件数は571万1102件で、前年から24万3482件増加した。09年から3年連続で増加しており、500万件を超えるのは04年から連続となる。
東日本大震災の影響のため、岩手県の釜石大槌地区行政事務組合消防本部と陸前高田市消防本部のデータを除いた救急自動車による搬送人員は517万8862人。そのうち入院加療を必要としない軽症傷病者とその他(医師の診断がないものなど)の割合は50.5%で、約半数となった。死亡は1.5%、重症は9.4%、中等症は38.6%だった。急病による救急自動車の搬送人員は322万7013人。疾病別内訳を見ると、消化器系が10.2%で最も多く、脳疾患の9.7%、呼吸器系の9.3%、心疾患などの9.0%が続いた。その他は19.5%、不明確などは29.0%だった。
救急業務を取り巻く課題として白書で挙げたのは▽電話による救急相談事業の推進▽心肺機能停止傷病者の救命率など▽熱中症対策▽救急救命士の養成▽救急用資器材などの整備▽インフルエンザなど感染症対策▽救急需要増への対応▽社会全体で共有する緊急度判定体系の構築▽救急搬送におけるヘリコプターの活用―の9項目。
救急需要増への対応について白書は「救急自動車による出動件数は、10年前と比較して約30%増加しているが、救急隊数は約8%の増にとどまっており、救急搬送時間も遅延傾向にある」と指摘。消防庁は、救急車の適正利用のための広報活動などの対策を講じてきたが、高齢化の進展などにより救急需要は今後増大するとして「さらなる対策を検討する必要がある」としている。(12/12MEDIFAXより)