【政府税調】四段階制、一定額以上は見直しも/政府税調で厚労省
診療報酬が年間5000万円以下の個人立医療機関や医療法人に適用される四段階制所得計算の特例措置について、厚生労働省は11月12日に開かれた政府の税制調査会で、日本医師会・日本歯科医師会が実施したアンケート調査の結果を踏まえ、特例措置を基本的に維持することが適当として存続を主張した。一方で、美容形成外科などに見られる自由診療収入も含めた収入額が一定額以上である場合については特例措置の適用対象から除外する方向で見直しを行うと提案した。
日医・日歯が6月から8月にかけて個人立診療所を対象に実施したアンケート調査(有効回答数3189)では、▽特例措置の適用者には高齢層や診療報酬2500万円以下の小規模医療機関層が多い▽実額経費を計算している割合は、70歳以上の高齢医師では55.0%で、医師全体の70.5%に比べて相当程度低い―などが分かった。特例措置が廃止された場合の影響について、39.9%が「事業が継続できなくなる恐れがある」と答え、特に70歳以上では57.1%、診療報酬2500万円以下では48.1%と高かった。
説明を行った厚労省の櫻井充副大臣は「社会の実態を踏まえた上、税制を議論いただきたい」と前置きした上で、全国には70歳以上の高齢医師が一人で地域医療を支えている地区が75市町村141地区に及ぶとして地域医療への影響を勘案すべきと主張し
た。
一方で会計検査院の指摘通り、特例措置適用者の中には多額な診療報酬を得ている者もいるとして、自由診療分を含めた収入額が一定額以上の者については、事務処理負担の軽減を図る特例措置の趣旨を踏まえて除外する方向で見直したいと述べた。
網屋信介財務政務官は地域医療に対する危機感は共有しているとしながらも、第三者に説明できるように詳細なデータを示すよう求めた。今後は政務折衝の場などで議論をすることになる。
●事業税の非課税・軽減措置の存続も
厚労省は診療報酬に関わる事業税の非課税措置と、医療法人の診療報酬以外に関わる事業税の軽減措置について存続を求めた。櫻井副大臣は医療法人への軽減措置は官民格差を埋めるための必要な措置であるとあらためて強調した。医療法人の法人税・住民税への負担は公立病院に比べて1施設当たり年間約2400万円多く、補助金や行政からの負担金などは約6億2000万円少ないことなどを説明し、自らの医師としての経験を交えながら官民での不公平を是正する必要があると訴えた。(11/13MEDIFAXより)