【政府】速やかな財源確保と医療提供体制の改革を/慶応大・権丈教授  PDF

【政府】速やかな財源確保と医療提供体制の改革を/慶応大・権丈教授

 慶応大商学部の権丈善一教授は10月5日、慶応大大学院健康マネジメント研究科などが開催したシンポジウムで講演し、「財政再建と社会保障機能強化を両立するためには、速やかな財源確保と医療提供体制の改革を行うしか選択肢はない」と述べた。また、消費税率について、将来的には25%程度まで許容できるとの見解を示した上で、10%程度への引き上げでは「今後ひたすら社会保障のカットを続けていくことになる」と指摘し、さらなる消費増税の必要性を訴えた。

 権丈教授は「消費税は他の税に比べて圧倒的に財源調達力が強く、消費税なくして福祉国家は作れない」と強調。「それにも関わらず日本は消費税率を上げずに来た」とし、「消費増税がもっと早ければ、社会保障をより充実させることに充てることができた」との認識を示した。

 国が現在、国債や借入金などで1000兆円を超える借金を抱え、金利が1%上がるだけで利払いが10兆円増える状況にあることも指摘し、消費税率は5%以上の引き上げが必要になると説明。社会保障制度改革国民会議で医療・介護分野の起草委員としてまとめた報告書に、消費増税の必要性を盛り込んだことに理解を求めた。その上で、報告書には「財政上の制約がある中で、今ある医療提供体制を効率化させて、アウトカムを高めていく方法を延々と書いた」とも述べた。

 講演では過去10年間の社会保障制度改革の取り組みについて「福田・麻生政権で打ち出した中福祉・中負担を目指す方向に、非現実的な民主党政権を経て、今回の国民会議でようやく戻した」と振り返り、あらためて「この方向性で行くしかない」と強調。報告書に対し「抜本改革や混合診療全面解禁などが足りない」との批判があることについては、「アメリカ型の所得と医療費が比例する社会を目指している」との見方を示し、「こうした価値判断とは相いれず、永遠に対立する。市場に任せると安全性も担保できず、ルールをもってブロックすることは必要」と主張した。(10/8MEDIFAXより)

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