【改定率】改定率決着、通常分で本体0.1%増/ネットは実質マイナス1.26%
診療報酬改定について
平成26年度の診療報酬改定は、以下のとおりとする。
※( )内は、消費税率引上げに伴う医療機関等の課税仕入れにかかるコスト増への対応分
1.診療報酬本体
改定率 +0. 73%(+0. 63%)
各科改定率 医科 +0. 82%(+0. 71%)
歯科 +0. 99%(+0. 87%)
調剤 +0. 22%(+0. 18%)
2.薬価改定等
改定率 ▲ 0. 63%(+0. 73%)
薬価改定 ▲ 0. 58%(+0. 64%)
材料価格改定 ▲ 0. 05%(+0. 09%)
なお、別途、後発医薬品の価格設定の見直し、うがい薬のみの処方の保険適用除外などの措置を講ずる。
2014年度診療報酬改定の改定率は12月20日、消費税率引き上げに伴う補填分を除いた通常改定分で、本体プラス0.1%で決着した。薬価と材料価格はマイナス1.36%で、ネット改定率はマイナス1.26%となった。一方、補填分の改定率は全体でプラス1.36%(本体0.63%、薬価・材料0.73%)。通常分と補填分を合わせて全体改定率を計算した場合は、ネットプラス0.1%となる。
このほか病床の機能分化などに活用する基金を造成し公費900億円を注ぐことも決まった。改定率とは別建てで、7対1病床からの移行に使える公費200億円(国費約140億円)も確保した。改定率で0.15%に当たる。
厚生労働省によると14年度の見込み医療費は41.3兆円。補填分込みの本体プラス0.73%(通常分0.1%+補填分0.63%)は医療費ベースで約3000億円の財源となる。「医科:歯科:調剤」の配分比率は、補填分を加味しなければ前回同様「1:1.1:0.3」。補填分込みでおよそ「1:1.2:0.3」となった。
●増税補填は満額確保
さまざまな見方ができる改定率となった。消費増税の補填分は、財務省が主張していた1.23%ではなく厚労省主張の1.36%を満額確保。医療機関に増税負担が生じない形をつくることには成功した。ただ、補填分を除いた通常改定分の本体改定率は、前回改定のプラス1.379%と比べ、0.1%(医療費ベース400億円)の微増にとどまり、通常改定分ではネットマイナス1.26%と厳しい数字になった。
●実質本体改定率は0.25%か
ただ、7対1病床からの移行に使える公費200億円は、改定率に換算すると約0.15%。経過措置とはいえ、実質的な本体改定率はプラス0.25%という表現もできる。さらに、基金900億円(国費600億円、地方300億円)は診療報酬とは異なるが、仮に改定率に換算すれば0.65%に当たる。これが一体改革への対応で使われることになる。
田村憲久厚生労働相は改定率決定後の記者会見で「難病、がん、認知症、精神疾患への対策や、医療提供体制の整備などに対応するため、できる限り診療報酬本体に上乗せしようと交渉してきた」と振り返りつつ「消費税が上がる中で、国民負担が増えるという心配もあった」と打ち明けた。その上で「財政支援の制度として新たな基金を組む。これを使って今のような諸課題に対応させていただきたい」と述べ、基金900億円による対応は国民負担を生じさせない方法として意義があると評価した。(12/24MEDIFAXより)