【改定率】「新たな基金」初年度904億円は全額医療に/厚労省が方針  PDF

【改定率】「新たな基金」初年度904億円は全額医療に/厚労省が方針

 厚生労働省は、医療・介護サービスの提供体制改革に向けて都道府県に新たな基金を創設する「新たな財政支援制度」(新基金)の財源について、初年度の2014年度は医療提供体制改革に向けた事業に全額配分する方針を決めた。新基金の財源は、国と都道府県の負担を合わせて公費904億円。介護に関連する事業は「介護基盤緊急整備等臨時特例基金」と「介護職員処遇改善等臨時特例基金」の期限が14年度まで延長されることから、15年度から新基金の対象とする。

 新基金は、病床の機能分化・連携など都道府県が今後策定する地域医療ビジョンの実現に向けた事業や、医師・看護職・介護職確保の事業などを支援対象とすることを想定している。具体的な事業については今後、国が基本方針や交付要綱を定める。都道府県は、医療・介護サービスの提供体制改革に向けた「整備計画」を策定し、財源の配分を求める。

●従来の補助金事業、新基金で拡充・強化
 厚労省は、既存の補助金事業を廃止し、新基金の対象として拡充・強化することも検討している。地域医療に必要な人材の確保や、産科・小児科など不足している診療科医師の確保、女性医師への復職支援や、新人看護職への研修、看護師養成所への財政支援など、新基金の目的と重なる約30事業を引き継ぐ構想。これまでの補助金事業では、国庫補助率が事業ごとに異なっていたが、14年度から新基金の対象となることで国庫負担分は一律「3分の2」に引き上がる。

 新基金の対象事業とすることで運用面の安定化も図る。個別の補助金事業は「裁量的経費」として毎年度の予算編成で一律1割削減などの対象となるが、新基金の予算は「義務的経費」のため、削減の対象外となり、安定的な財源確保が見込めるという。

 新基金の配分については、公平性・透明性を確保するために医師会など関係者が関与する仕組みも検討している。関係者が集まる協議を経て都道府県が「整備計画」を策定することで、公私の医療機関に公平な配分にする狙いだ。

 新基金の財源をめぐっては当初、消費税増収分を充てることになっていたが、14年度予算案では消費税増収分を財源とする544億円に加え、消費税収以外の一般財源から360億円が上積みされた。この上積み部分を念頭に別途、地域包括ケアの中心となる「かかりつけ医機能」を担う民間の医療機関を中心に配分することなどを検討している。(1/16MEDIFAXより)

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