【戦略特区】戦略特区内の病床、増床特例の対象に/厚労省が検討方針
厚生労働省は、国家戦略特区での規制緩和について基本的な考え方をまとめ、9月20日の産業競争力会議の第1回課題別会合に提示した。特区内の国際医療拠点として高度な医療水準を確保し、相当数の外国人患者を受け入れる医療機関の病床について、病床過剰地域でも増床可能な特例病床制度の対象に加えることを検討すると説明した。政府は、国家戦略特区を展開するために必要な法案を10月召集予定の臨時国会に提出する方針。国家戦略特区の指定時期など具体的なスケジュールも議論する。
特例病床制度は、病床過剰地域であっても、さらなる整備が必要となる一定の病床については病院開設・増床を認める制度。現行は▽がんや循環器疾患の専門病床▽小児疾患専門病床▽周産期疾患に関する病床―など13種類の病床が対象となっている。厚労省は会合に提出した資料で、国際医療拠点での病床の新設や増設は現行の特例病床制度でも可能と考えるとした上で「国際医療拠点である特区で高度な水準の医療を行うための病床自体を新たに特例病床制度の対象に加えることも検討」と示した。
●高度な外国人医師に医療行為容認/2014年の通常国会に
また、国家戦略特区に限らず全国で適用される規制緩和策として、高度な医療技術を持つ外国人医師が、日本の医師に自らの技術を教える場合に限り、日本で医療行為を行うことを認める考えを明らかにした。14年の通常国会に関連法案を提出する。外国人医師の受け入れをめぐっては、安倍晋三首相が13年6月の講演で、トップクラスの外国人医師が日本で診療することができるよう制度を見直すと明言していた。
臨床研究中核病院に匹敵する国家戦略特区内の国際医療拠点では、国内未承認の医薬品などについて保険外併用を希望する場合、保険外併用療養費制度の対象と認めるかどうか速やかに評価できる体制づくりを進めることも検討する。政府の日本再興戦略に盛り込まれた「先進医療ハイウェイ構想」と併せて体制づくりを検討する。
●特区で医学部新設「文科省と検討」
一方、特区内で、国際医療拠点と連携した医学部の新設を認めることについては「地域医療への影響、医療費への影響などさまざまな課題があり、文部科学省と連携して検討することが必要」とした。
国家戦略特区は、地域を限定して規制緩和などを行う仕組み。医療分野では、全国の自治体や団体、大学、企業がプロジェクトを提案。内閣官房地域活性化統合事務局によると、今後優れたプロジェクトを採用した上で、そのプロジェクトを国家戦略特区としてどの地域で展開するか検討する。(9/24MEDIFAXより)