【尊厳死】「終末期医療法案」、通常国会提出へ/自民・尊厳死PTが発足
尊厳死に関する議員立法を来年の通常国会に提出しようという動きが加速し始めた。自民党は12月3日、政務調査会の下に「尊厳死に関する検討PT」(山口俊一座長)を立ち上げ、「終末期医療法案」について意見を交わした。山口座長は超党派議連とも連携しながら、2014年度予算が成立した後の14年4月ごろを目指して同法案を取りまとめたい考え。人間の生死に関わる法律のため、臓器移植法と同様に複数の案を作り、党議拘束を外した上で、議員個人の意思に委ねて採決し、成立させたい考えだ。
「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案」は、超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」が10年近く議論を重ね、まとめた。自民党は同法案を諮るために尊厳死PTを立ち上げた。年内に再度PTを開く。年明け以降はヒアリングを数回実施する予定。他の政党でも同法案を審議し、超党派の尊厳死議連で各党の意見を調整する。その後、あらためて各党に持ち帰って党内手続きを行い、共同提案の形で通常国会に提出する見通し。
終末期医療法案は、患者本人が望んでいない終末期医療の延命措置を「不開始」または「中止」しても免責にする法律。患者の意思を十分に尊重しつつ、医療従事者と患者・家族の信頼関係に基づいて終末期医療を行う。終末期医療に関する患者の意思決定は任意でなければならず、患者個人の尊厳を尊重する。
同法案では、延命措置を「行わない(不開始)」場合のみを対象とする第1案と、「中止および不開始」を対象とする第2案の2パターンを検討している。満15歳以上の患者が書面などの方法で意思表示し、かつ、全ての適切な医療を受けたとしても「回復の余地がなく」かつ「死期が間近」と2人以上の医師が判断した場合に延命治療を断れる。生命維持装置を付けているだけでは「死期が間近」とは認めない。また、患者はいつでも意思表示を撤回できる。延命措置を行わなかったり、中止したりして患者が死亡しても、医師は民事上の損害賠償や刑事上の殺人罪、行政上の医師免許取り消しといった罰を免責される。(12/4MEDIFAXより)