【審査支払】審査支払機関、統合より運用改善を/医療保険部会で反対意見  PDF

【審査支払】審査支払機関、統合より運用改善を/医療保険部会で反対意見

 衆院の決算行政監視委員会が「社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会の統合に向けて検討を進めるべき」と求めていることに対し、5月11日の社会保障審議会・医療保険部会(会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)では、審査支払機関の統合に反対する意見が相次いだ。市町村や医療保険者からは「レセプト審査の効率化が本当に図られるのか」「効果が明確に分からない統合を進めるよりも、両者の業務改善が優先」と統合効果に疑問を示す声が続出。

 衆院決算行政監視委員会は2011年12月、審査を効率化し医療費を削減するため、支払基金と国保連の統合に向けて検討を進めるべきとの決議を採択。6カ月以内に対応状況を報告するよう政府に求めた。これを踏まえて医療保険部会で審議が続いている。

 岡誠也委員(全国市長会国民健康保険対策特別委員長、高知市長)は「(国保保険者が共同設立した)国保連では、レセプト審査支払い業務と一体的に保険者事務の共同処理も行っている」と説明。決算行政監視小委員会では国保連から審査支払い業務だけを抜き出して支払基金に統合できるのではないかとの提案もあったが、岡委員は「わざわざ切り離すのは極めて非効率」と指摘した。審査支払機関の在り方については「医療保険制度の将来構想と併せて慎重に検討すべき」との考えも示し、現時点での統合に反対した。齋藤正寧委員(全国町村会副会長、秋田県井川町長)も反対の立場を強調した。

 被用者保険側からも、統合効果を疑問視する声が上がった。白川修二委員(健保連専務理事)は「実効面で効果があるとは考えられない。慎重に検討すべき」と指摘し、統合よりも、審査基準の全国統一化を図るべきとした。

 日本医師会常任理事の鈴木邦彦委員は「地域保険者の国保と、職域保険者である健保はそもそも違うものだ。審査支払いを統合するのであれば、まずそれよりも制度を合わせることが先決」とし、無理に統合しても現場に混乱を来すと指摘した。

 遠藤会長は「基本的には運用上の課題改善の方が優先されるべきで、統合というのはその後の議論ではないか、という意見が主だった」と議論を総括した。

●統合に保険者の過半数が「どちらとも言えない」
 厚生労働省が実施した保険者アンケートの中間報告によると、統合の是非について「どちらともいえない」と答えた保険者は57.0%で最も多かった。被用者保険で44.8%、国保・後期高齢者で67.6%。厚労省保険局保険課は「判断材料が乏しい、メリット、デメリットが明確ではない、保険者にとっての統合効果が見えにくいといった意見があった」と説明した。「統合すべき」は全体で29.1%、「統合すべきではない」は13.8%だった。2498保険者の回答をまとめた。(5/14MEDIFAXより)

ページの先頭へ