【外保連】帝王切開術引き下げ「努力が裏目に」/14年度改定で外保連  PDF

【外保連】帝王切開術引き下げ「努力が裏目に」/14年度改定で外保連

 外科系学会社会保険委員会連合(外保連)の山口俊晴会長(がん研有明病院副院長)は3月4日の会見で、2014年度診療報酬改定の手術の評価について「薬価引き下げ財源を手術等の医療技術に充当できず、新技術の保険導入が前回改定の半分程度しか認めてもらえなかった」と指摘し、薬価引き下げ財源の引き離しに強い危機感を表明した。手術委員会の岩中督委員長(東京大教授)は、外保連試案で手術時間が短縮し試案価格が下がった帝王切開術が、改定でもそのまま点数が引き下げられている現状に対し「襟を正そうとしている各学会の努力に対し(引き下げ部分だけを切り取っての評価は)極めて残念だ」と指摘した。

 帝王切開術の点数の引き下げは、医療関係者からは「産科なのに」と戸惑いの声が上がっている。岩中委員長は「外保連試案は実態に即した試案を作ろうということで、標準化された術式はD群に下げた。試案価格は減ることになるが、各学会が努力をしてきたものであり、改定で手術点数を下げてよいというものではないことは、これまでも厚労省には申し上げてきた」と述べた。

 その上で「特に手術時間は、技術革新や材料の進歩で時間短縮される傾向にある。試案価格は減ることになるが、襟を正すためにやってきた。しかし今回は、試案価格の増減に連動してがっちり下げられた。これでは、真面目さが裏目に出たといわざるを得ない」と強調。「帝王切開術は一般病院の手術時間が短縮し、試案では手術時間が2時間から1時間に短縮した。すると途端に2万円の引き下げになってしまった」と説明した。今回の改定では、耳鼻咽喉科と眼科の手術料が下がっているとも説明し「理由は今後、厚労省に確認したい」と述べた。

●試案の評価、新指標など検討必要/山口会長
 帝王切開術などの引き下げについて外保連試案が要因の一つになっていることに対し、山口会長は「現行の評価指標である手術時間、技術度、人数だけでなく、QALYなど費用対効果の新たな指標の導入も検討したい。今後、加盟学会に諮り合意が得られれば具体的に検討を進めていく」と述べた。

 一方、山口会長は、実質マイナス改定の中で、手術や処置の休日・時間外・深夜加算が充実されたことに対し「外科医の労務環境を改善していこうという方向性は評価できる。ただ、要件が厳しいので緩和の方向にもっていってほしい」とした。

 今回の改定では、外保連が新設要望した190件のうち41件の採用(前回91件採用)にとどまった。既存項目も143件の要望で38件の採用(前回79件採用)だった。(3/5MEDIFAXより)

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