【報告制度】「患者の流れ」「他院との連携」も報告へ/病床機能報告制度
厚生労働省の「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」(座長=遠藤久夫・学習院大教授)は1月11日、病床の機能分化に向けて導入する報告制度で、入院から転棟・転院や退院など「患者の流れ」や「他の医療機関との連携」も何らかの形で報告の対象にすべきとの意見で一致した。報告制度の導入で医療現場が混乱しないよう、あまり大きな負担は求めないという点でも合意した。
患者の流れや連携については、松田晋哉構成員(産業医科大教授)が「ナショナル・データ・ベースを用いて、2次医療圏単位で患者のフローをざくっと分析し、各医療機関は自院から他施設への転院など、レセプトに記載のあるような情報を活用すれば負担もかからない」との考えを示した。西澤寛俊構成員(全日本病院協会長)は「地域の中で患者が病気になったとき、どういうところに行っているのか、医療圏を越えているのかなどが見られるといい」と述べた上で「将来的には救急医療から介護まで全ての流れをつかむことを念頭に、この検討会では急性期の前後(の流れの把握)を議論していくべきではないか」と指摘した。
三上裕司構成員(日本医師会常任理事)は「地域包括ケアシステムの構築や在宅医療連携拠点事業などが進められており、それらと組み合わせて継続的な治療が必要な患者に対し、地域でどのようなものを整備すべきかが重要」と述べ、患者の流れを把握する目的を明確にすべきとした。
こうした意見を受け、遠藤座長は「患者の流れと連携は、何らかの形で報告の対象にすべきとの点について共通認識が得られた」とまとめた。
●患者視点では病院単位が適切/三上構成員
会合では、医療機関と都道府県が患者や住民に対し、どのような情報を提供すべきかについても議論した。三上構成員は「病院ごとにどのような機能を持っているのかを患者は知りたいはず。病院全体としてどのような患者を診ているかが分かればいいのではないか」と述べた。一方、相澤孝夫(日本病院会副会長)は、同検討会が病棟ごとの機能を報告する制度について議論していることを踏まえ「まずはその病院がどんな医療を提供する病棟を、いくつ持っているかを公表することから始めるべき。そこに患者のための情報をどう載せるかではないか」と述べた。(1/15MEDIFAXより)