【基金】「審査」テーマに初の公開フォーラム/支払基金
社会保険診療報酬支払基金(河内山哲朗理事長)は2月5日、公開フォーラムを開き、社会保険診療報酬請求書審査委員会による「保険診療ルールによる適正な審査」「医学的判断による審査」などの役割や審査業務について支部審査委員長が解説し、国民(患者)や医療提供者、保険者に理解を求めた。審査委員会はレセプト情報に基づいて診療報酬の請求内容の審査を行うが、審査委員が国民や医療提供者、保険者と直接的に意見を交わす機会はほとんどない。支払基金が業務の根幹となる審査支払い業務について一般公開の場で説明するのは、このフォーラムが初めて。
フォーラムでは石川県社会保険診療報酬請求書審査委員会の木田寛・審査委員長が都道府県ごとに設置された支部審査委の役割について解説した。療養担当規則や診療報酬点数表といった保険診療ルールに沿った審査(原審査)によってレセプトの適正化を図ると説明するとともに、「細部がルール化されていないことも少なからずある」と指摘。「ルールがないものを含めて期限内に(審査が)終わらないと支障を来す」とし、豊富な診療経験を持つ審査委員による医学的判断によって遅滞なく審査が行われていることを強調した。また、個々の委員での判断が困難な場合や審査期間内に発生した疑問点への対応については、審査委の合意により「支部ルール」とする一方で、支部ルールが支部間差異を生んでいる状況も説明した。
政策研究大学院大の島崎謙治教授は講演で、日本の国民皆保険では医師の裁量をかなり広範に認めていると指摘するとともに、支払基金の審査が「事後統制機能」を担っていることなどを説明した。
● 適応外使用のレセ審査「困難かつ重要な役割」/安達氏
パネルディスカッションでは中医協委員の安達秀樹・京都府医師会副会長が医師の裁量による医薬品の適応外使用を認めた「昭和55年通知」について触れ、適応外使用の適否は「レセプト審査の困難かつ重要な役割だ」と述べた。安達氏は通知について、適応症が認められた薬剤で治療しても効果が得られない場合に限って55年通知を適用し、適応外使用を認めるべきだとの解釈を示した。ただ、55年通知の対象外となる再審査期間が終わっていない新しい抗がん剤などを例に挙げ、それがなければ正しい診断にたどり着けず治療ができないといった患者の治療に必要不可欠な医薬品や検査などについては適応外使用を認めるべきとの考えを示した。
同じく中医協委員の白川修二・健保連専務理事は「支払基金は社会保険診療報酬支払基金法の殻を破って、業容を広げることにチャレンジすべき」と主張した。レセプトは医療機関からの請求書であるとともに、保険者にとっては唯一の医療情報であるとし、医療情報としての活用を促した。白川氏は審査の見落とし率をゼロにすることを目標とすべきではないかとも述べた。(2/6MEDIFAXより)