【地域ケア】「地域包括ケアシステム」に問題提起/老施協・中田会長
全国老人福祉施設協議会の中田清会長は10月23日、広島市で開催されている全国老人福祉施設大会で講演し、厚生労働省が進める地域包括ケアシステムについて「『このシステムが本当に重度者や単身者の生活を守れるのか。どのように実践するのか』という疑問が全国から来ている」と現場の声を代弁した。その上で「システムの問題点を整理して、現場から制度改革をしなければいけない」と参加者に訴えた。
中田会長は地域包括ケアシステム自体は否定しないとしつつも、実践することが難しいと指摘。4月から始まった新サービス「24時間対応の定期巡回サービス」や「複合型サービス」を例に挙げ、「中小企業・零細事業者には実施することができない」「人材確保が難しい」と述べた。「全国にはすでに特別養護老人ホームや介護老人保健施設が整備されているのだから、そこを核に地域包括ケアを進めればよい」とも述べた。
中田会長は「問題を指摘するだけではなく、われわれのサービスの質も高めていかなければいけない」とも訴え、認知症ケアやリハビリテーション、口腔ケア、看取りケアといったサービスについて「質を高めて実践してほしい」と参加者に呼び掛けた。
●特養の内部留保問題にも言及
財務省が7月に「生活困窮者等に対する利用者負担額軽減事業」の実施率が低い特養ほど内部留保額が多いと指摘した問題について、中田会長は「負担軽減事業の実施率を全国で100%にしないと、社会福祉法人としての非課税措置が課税になる可能性も考えられる」と危機感を示し、生活困窮者に対する負担軽減事業に取り組んでほしいと求めた。
挨拶した厚労省老健局高齢者支援課の深澤典宏課長もこの問題に触れ、「一定の内部留保が必要なことは理解しているが、社会福祉法人においては社会貢献に積極的に努めていただきたい」と述べた。(10/24MEDIFAXより)