【在宅医療】次期改定、「日本型在宅医療」構築が課題/日医・鈴木常任理事
日本医師会の鈴木邦彦常任理事(中医協診療側委員)は、取材に応じ「次期診療報酬改定においても在宅医療の充実は重点課題になるが、“在宅=自宅”という狭義の在宅至上主義ではなく、中小病院や有床診療所、ワンストップサービスが可能な日本型診療所という既存資源を活用し、入院や介護施設への入所も含めた日本型在宅医療の在り方を基盤に報酬体系を検討していくことが重要だ」と指摘した。「次期改定でもネットでのプラス改定がぜひ必要だ。中小病院、診療所については、この2回の改定で評価されたとはいえないのが現状」とも語った。 2月13日の中医協総会では在宅医療に関する現状報告があり、フリーディスカッションが行われた。鈴木常任理事は次期改定での在宅医療について?在宅療養支援診療所(在支診)、在宅療養支援病院(在支病)への適切な評価?重医療・重介護の在宅患者については、中小病院、有床診療所への入院も在宅医療の受け皿として総合的に評価する体系を考える−などを挙げ、在宅医療のすそ野を広げていきたい考えだ。特に「日本の場合、入院料や入所費用が安価で、重医療・重介護患者の在宅医療がむしろ高コストになる問題がある。受け皿を柔軟にすることで無理のない在宅医療を今後も推進できるのではないか」とした。
●在支病の200床未満要件は堅持を
一方、鈴木常任理事は「次期改定では在支病の200床未満の算定要件などを見直す必要はない。200床枠を外すことでむしろ病床間の機能分化を損なう可能性がある」とした。ただ、在支病の要件については、今後、四病院団体協議会の在支病委員会が行うアンケート調査の集計結果などを待ちたいとした。
また、「次期改定では在支診を届け出ていないが一人で在宅患者への往診などを行っている(無床)診療所の医師に対して適切な評価を進めることが必要だ。在支診と一般診療所の点数格差を少なくしていきたい」と述べた。
機能強化型在支診の評価については「医師の負担を考えれば、24時間・365日の体制をグループを組んで取り組んでいくことは方向としていいのではないか。日医では在宅医療に対してもかかりつけ医機能の一環として充実を目指している」とした。
●医療資源不足地域「診療所も対象に」
さらに、2012年度診療報酬改定では、医療資源が不十分な30の2次医療圏の特定地域で「複数病棟」(病棟単位の看護配置が可能)や「特定一般病棟入院料」(1病棟のみの小規模病院で算定)を導入した。鈴木常任理事は「次期改定では対象地域の拡大とともに、病院だけでなく診療所も対象にしてもらいたい」と指摘。在宅医療でも都市部と地方では資源や環境に大きな差があるとし「地方では中小病院、有床診療所への入院や介護施設への入所をより活用することが必要だ。日医としても過疎地域の診療所についての実態調査を行いたいと考えている」とも述べ、次期診療報酬改定では都市部以外の地方や過疎地域での報酬体系についてもきちんと検討していくことが必要とした。(2/19MEDIFAXより)