【国民会議】高齢者医療費「抑制では理解得られない」/国民会議委員の遠藤氏  PDF

【国民会議】高齢者医療費「抑制では理解得られない」/国民会議委員の遠藤氏

 政府の社会保障制度改革国民会議の委員に選任された学習院大の遠藤久夫教授(社会保障審議会・医療保険部会長)は11月27日、高齢者医療費について「適正化」を前面に打ち出した議論は国民的コンセンサスを得られないのではないかとの考えを述べた。東京都内で開催されているアジア・エイジング・サミット2012(国立長寿医療研究センター主催)のシンポジウムで話した。

 後期高齢者の1人当たり診療費は若人の4.7倍になっていることについて遠藤氏は、他の国と比べて比率が高いが、本当に不必要な医療があるのかはエビデンスに乏しく判断が難しいとの認識を示した。

 その上で、高齢者の医療費問題について「適正化という形で議論するのは適切ではない。結果的に国民的なコンセンサスを得られないような気がする」と指摘。医療費抑制を前面に打ち出した議論や、抑制につながると想像させる議論は国民から否定的に捉えられることがあり、頓挫しかねないとの懸念を示した。

 一方で「生き方や死に方の問題としての議論はいくらでもできる」と述べ、高齢者医療の問題については、学会や患者の立場からの議論が有効ではないかと指摘した。学会がガイドラインを作ったり啓発したりしながら、議論を主導することが問題解決の糸口になるとの方向性を示した。(11/28MEDIFAXより)

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