【国民会議】要支援者の予防給付、市町村事業に移行を/ 国民会議の各論案
8月2日の社会保障制度改革国民会議に示された医療・介護分野の報告書各論案には、介護保険制度の要支援者に対する介護予防給付を市町村事業へ段階的に移行させる方針が示された。市町村が行う地域支援事業を、地域包括ケアの推進を念頭に「地域包括推進事業(仮称)」に再構築する必要性も指摘された。
介護保険制度改革の中で最大の課題と位置付けられたのが「地域包括ケアシステムの構築」。そのためにも2015年度からの第6期以降の介護保険事業計画を「地域包括ケア計画」と位置付け、あらためて積極的に取り組むよう促した。
社会保障制度改革推進法は介護保険制度改革として、介護サービスの効率化・重点化と国民の保険料負担の増大抑制を求めている。各論案では介護サービスの効率化・重点化について、市町村が地域の実情に応じたサービスを効率的に提供するためにも、要支援者への介護予防給付を段階的に地域包括推進事業へ移行させる方針を示した。清家会長は移行時期について、国民会議終了後の記者会見で「少なくとも中長期の話ではない」と述べている。
効率化・重点化ではこのほか、▽所得水準に関係なく一律となっている利用者負担について、一定以上の所得がある利用者の負担引き上げ▽特別養護老人ホームの中重度者への重点化と軽度の要介護者を含んだ低所得高齢者の住まいの確保▽デイサービスについて、重度化予防に効果がある給付への重点化▽補足給付での資産の勘案―が盛り込まれた。
保険料負担の増大抑制については、低所得者への軽減措置の拡充が必要とされた。40−64歳が負担する介護納付金への総報酬割導入は、後期高齢者支援金の全面総報酬割の状況を踏まえながら検討する課題に挙げている。
●低所得の単身高齢者、対応策のアジェンダ提示を
国民会議では、宮本太郎委員(中央大教授)が低所得の単身高齢者世帯が増加することへの対応策について、報告書の中でアジェンダとして提示することを求めた。各論案では、中低所得の高齢者が地域で安心して生活できるように空き家の有効活用を求めており、年金分野の各論案にも低所得者対策への言及がある。宮本委員は各分野を揺るがしかねない問題になると懸念を示した。(8/5MEDIFAXより)