【国民会議】確かな社会保障を将来へ、国民会議が報告書/秋にプログラム法案  PDF

【国民会議】確かな社会保障を将来へ、国民会議が報告書 /秋にプログラム法案

 政府の社会保障制度改革国民会議(会長=清家篤・慶應義塾長)は8月5日、報告書をまとめた。清家会長が8月6日に安倍晋三首相に提出した。政府は報告書を踏まえ、改革時期を示した「プログラム法案」の大綱を8月21日までに閣議決定し、秋の臨時国会へ提出。その後は社会保障審議会などで細部を検討し、改革の個別法案を策定して2014年の通常国会から順次、提出する見通しだ。25年を見据えた社会保障制度改革は新ステージへ入る。

 報告書には「確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋」という副題がついた。「医療改革の方向性」の中にある人材確保の記載は「職能団体には、中心となって、計画的に養成・研修することを考えていく責務がある」と変わった。医療・介護サービスの提供体制を改革する財源として検討される消費税増収分の使途を「病院・病床機能の分化・連携への支援、急性期医療を中心とする人的・物的資源の集中投入、在宅医療・在宅介護の推進、地域包括ケアシステムの構築に向けた医療と介護の連携、生活支援・介護予防の基盤整備、認知症施策、人材確保など」と具体的に記載し、より明確化した。

 報告書の冒頭には清家会長の「国民へのメッセージ」を設けた。「長寿社会を実現したのは社会保障制度の充実のおかげ」で「その成功の結果が高齢化をもたらし、今度はその制度の持続可能性を問われることになった」と記述している。

●個別法案「常識的には14年の通常国会」
 会見では内閣官房社会保障改革担当室の中村秀一室長が、8月21日までに閣議決定する法制上の措置について「大綱のようなものを想定している」と説明。秋の臨時国会に提出する法案では「報告書の改革項目を念頭に、できる限り実施時期を明確にし、内容を示したい。それを『プログラム法案』と呼ぶなら、改革の内容を具体的に規定する個別法案は、秋の臨時国会に出るものもあるかもしれないが、常識的には14年の通常国会から順次、提出される」と話した。プログラム法案では、報告書の総論にある「改革の進捗状況をフォローアップする政府の下での体制」にも言及する方針。

 会合では遠藤久夫会長代理(学習院大経済学部長)が報告書について「医療提供体制が一つのポイント」とし「医療はそれぞれが均衡し、バランスが取れている。全体のバランスとタイムスケジュールを考えて進めることが重要だ」と指摘し、「例えば急性期病床を減らすのであれば、同時に患者の受け皿となる病床を用意するなどのバランスのこと」と説明した。清家会長は会合後の記者会見で「大前提である消費税引き上げを含める財源確保をし、報告書の改革を着実に進めることを期待している」と政府に求めた。(8/6MEDIFAXより)

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