【国民会議】皆保険守るには「応能原則の徹底必要」/国民会議で権丈委員  PDF

【国民会議】皆保険守るには「応能原則の徹底必要」/国 民会議で権丈委員

 政府の社会保障制度改革国民会議は8月2日、分野ごとの起草委員が提示した各論案を基に議論を深めた。医療・介護分野では、職能団体の責務をより明確に書き込むべきとの意見が出た。冒頭に挨拶した甘利明経済再生(一体改革)担当相は「次回の議論で取りまとめる段取り」と明言。

 権丈善一委員(慶応大教授)が示した医療・介護分野の各論案は、過去の議事録を徹底的に読みこなす作業から起草を開始したという。権丈委員は「日本の医療費の対GDP比は高くない。しかし医療の問題を考えると財政の問題が入る」とし「与えられた資源の中で、最大の満足が得られる仕組みに医療を変えていく意味での効率化を意識した。これまで享受してきた皆保険やフリーアクセスを守るには、医療を変えることと同時に、負担面で応能原則が徹底されないといけない」と、各論案に込めた思いを語った。

●人材確保は「職能団体の責務」/大島委員
 各論案の「医療改革の方向性」の中で示した「適切な場で適切な医療を提供できる人材が確保できるよう、職能団体が中心となり計画的な養成・研修を考えることも重要」という記載について、大島伸一委員(国立長寿医療研究センター総長)が「職能団体には責務があると言い切ってほしい」と要望。「できないなら、医師の適正な分野別の養成・配置を国の責任で、ある程度強制化せざるを得ない」とし、医療団体のリーダーシップに期待をかけた。

 西沢和彦委員(日本総合研究所調査部上席主任研究員)は、医療の在り方を論じた部分に出てくる「総合診療医」について「かかりつけ医には総合診療医のスキルが求められると書いた方が、総合診療医とかかりつけ医の言葉の関連性が分かりやすい」と指摘。後期高齢者支援金への全面総報酬割で生じる財源を国保財政の構造問題解決に使うよう考慮するという記載に対しては「一致した結論を見なかったというのが客観的だ」と述べ、財源の使途は丹念に議論する必要があるとした。

●診療報酬は全国一律の制度で/清家会長と遠藤代理
 各論案は今後の医療について、「病院完結型」から「地域完結型」に変わらざるを得ないとの趣旨で貫かれている。「地域完結型の医療に見合った診療報酬・介護報酬に向け体系的に見直す」との記載も盛り込まれている。

 診療報酬を都道府県ごとに設定できる形に見直すようにも読めるが、清家会長は会合終了後の記者会見で「今回の提言では、全国ベースの診療報酬体系と、地域ごとのきめ細かい政策を可能にする基金などの税財源の両者の強みを組み合わせることが大切と考えている」と述べ、地域単位の診療報酬設定は否定した。遠藤久夫会長代理(学習院大経済学部長)も取材に「私見だが都道府県ごとという意味ではないだろう」と指摘。全国一律の現行制度の中で、地域完結医療を支えられる診療報酬の在り方を考える趣旨との見方を示した。(8/5MEDIFAXより)

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