【国民会議】民主、実務者協議の拒否を決定/3党合意の 趣旨逸脱が理由
民主党は8月5日、自民、公明両党との「社会保障制度改革に関する実務者協議」について、議論に応じないことを決めた。「自・公が社会保障制度に関する抜本的な制度改革議論を拒否し続けている」と主張。すでに与党側にもこの方針を伝えたという。
社会保障制度改革国民会議が取りまとめた報告書についても、民主は「(2012年6月の社会保障・税一体改革の)3党合意を踏まえた内容にはなっていない。3党協議で何ら合意することができず、国民会議に具体的な提案をすることができなかったため、国民会議の取りまとめた内容は、当初の趣旨と大きく異なってしまった」と指摘。「これは国民会議の委員の責任ではなく、政府の方針が政権交代により変わってしまったためで、民主党はこのような国民会議の取りまとめについて、責任を持つことはできない」と主張している。
3党合意では、今後の公的年金制度や高齢者医療制度に関する改革について「あらかじめその内容等について3党間で合意に向けて協議する」との内容が盛り込まれている。
3党実務者協議は、12年の3党合意に基づいて12年11月から議論を重ねてきた。参院選前の6月20日の会合を最後に開かれていないが、それまでの協議では、年金制度をめぐり、制度そのものの抜本的な改革も視野に入れる民主に対し、自民は現行制度をベースに改善を図る姿勢を崩さないなど、成果を挙げられないままだった。
8月5日、記者会見した櫻井充政調会長は「3党合意を順守してほしいと自・公に再三お願いしてきた。抜本改革などについて、先に実務者協議で決まったことを国民会議に上げる内容になっていたが、そういうことが議論されなかったため、国民会議の報告書を見ると、年金制度の抜本改革や高齢者医療制度改革について、私たちが求めてきた本質的な内容の方向性が明示されていない」と指摘した。
3党実務者協議に参加してきた長妻昭・党社会保障と税の一体改革調査会長は「私たちも野党になって、民主党の案が通らなければ一切駄目だという立場でもない。抜本的かどうかは別にして、制度改革を進めようと、自民党に何度も誘い水を出したが『制度は変えない』の一点張りだった」と批判した。
櫻井政調会長は「私たちも苦渋の選択だった。3党合意に基づかないから協議に応じないのであって、順守してくれるのであれば、あらためて考えたい」とも語り、今後、国会での論戦を通じて、党として社会保障制度改革案を示していく考えを強調した。
一方、菅義偉官房長官は8月5日の記者会見で「自分たちの主張が入っていないからといって離脱するというのは、誰が考えてもいかがなものかなと思う」と疑問を投げ掛けた。(8/6MEDIFAXより)