【国民会議】抜本改革の必要性や国保の広域化も議論/国民会議
社会保障制度改革国民会議は4月19日、医療・介護分野の集中討議を行った。大島伸一委員(国立長寿医療研究センター総長)は医療制度の抜本改革が必要だと主張。「皆保険制度には50年間の制度疲労が出ている。これまではマイナーチェンジで対応してきたが、その程度では無理だ。リセットが必要なくらいだ」と述べ、日本医師会の横倉義武会長の見解をただした。これに対して横倉会長は「抜本的な医療改革が必要だというのは共通認識だと思う。5−6年前に叫ばれた医療崩壊から立ち直るラストチャンスだと思っている」と応じた。
市町村国保の広域化についても意見が交わされた。横倉会長は「市町村国保は大変な思いで運営している。県単位にすれば安定する」とし、「広域化は望ましい」と発言。また、総報酬割の導入で捻出した財源を国保財政の立て直しに投入することについて見解を尋ねられ、横倉会長は「国保への投入は必要」との見方を示した。
国保の広域化については神野直彦委員(東京大名誉教授)や宮武剛委員(目白大大学院客員教授)らも賛成。宮武委員は、国保の広域化で保険者になった都道府県に新たな地域医療計画による病院の抜本的な再編成を実施してもらい、さらに、地域特性に応じて診療報酬の設定権限の一部を委ねるべきとも主張した。ただ、広域化に関して岩手県知事や総務大臣を務めた増田寛也委員(野村総合研究所顧問)は「赤字構造の解消が必要不可欠」と指摘した。
女性医師の職場環境改善に関する意見もあった。榊原智子委員(読売新聞東京本社編集局社会保障部次長)は「女性医師が働きやすい環境がない。医療者のワークライフバランスを真剣に考えるべき。人材配置の決定ボードがほとんど男性で、環境の変化に対応できていないのではないか」と苦言を呈した。これに対して横倉会長も「頭を悩ませているところだ」とし、「若い世代の医師の意見、特に女性の意見をくみ上げる必要がある。今から取り組みたい」と
応じた。
介護関連では大島委員が「医療と介護の連携の在り方や認知症への対策、これらに対するより確実で効率的な方法の探索、介護保険のデータの分析・活用等による解決策の模索など、介護分野への資源の投入は避けようがない」と指摘。山崎泰彦委員(神奈川県立保健福祉大名誉教授)も認知症対策の遅れを指摘し、国家戦略として取り組むべきだと述べた。(4/22MEDIFAXより)