【国民会議】外来定額制、考え方に一定の理解/国民会議で日医・横倉会長
日本医師会の横倉義武会長は4月19日の社会保障制度改革国民会議(会長=清家篤・慶應義塾長)で、2008年度診療報酬改定で導入されながら後に廃止された「後期高齢者診療料」など外来の定額制への考え方を問われ、「一定の健康管理をするためのコストとしてあり得ると思う」と条件付きながらも考え方に理解を示した。
08年度改定で新設された後期高齢者診療料は、糖尿病などの慢性疾患を「主病」とする後期高齢者に対して、診療計画書に基づいて継続的な外来医療を提供した場合に評価する包括点数だった。一人の後期高齢者について主病は一つで、原則として一人の患者を一つの医療機関が診るとする厚生労働省の説明に、各地の医師会で登録医制度や人頭払い制度につながると警戒感が広がり、届け出のボイコットにつながった経緯がある。民主党への政権交代後に廃止された。
委員との質疑応答で、宮武剛委員(目白大大学院客員教授)が「かかりつけ医と患者との間で定額の報酬を設定することについての考えを知りたい」と述べ、後期高齢者診療料を挙げて「かかりつけ医が定着するためには一種の定額制が避けられないのではないか」と質問した。横倉会長は「当時の日医担当の先生から説明を受けた時、私はそういう方法しかないだろうと理解していた。人頭割りにするといろいろ問題が出てくるが、一定の健康管理のためのコストということではあり得ると思う」と応じた。
後期高齢者診療料をめぐっては、中医協・支払い側委員の白川修二・健保連専務理事も取材で、理念は間違っていなかったとの認識を示している。
●医師不足対策で「地域医療再興講座」を
横倉会長は国民会議で、かかりつけ医を中心とした切れ目のない医療・介護の提供に関する「医療提供体制の改革」をはじめ、「生涯保健事業の体系化」「医師不足・偏在解消」「収入に応じた負担の公平化」など日医が重視する課題や取り組みを説明した。このうち「一番の問題」と指摘した医師不足・偏在対策では、地域医療に従事する医師の確保に関する試案を提示。▽医師不足地域の医学部に「地域医療再興講座」を設置するなど、大学医学部の役職・身分を保障しキャリアアップにつなげる▽同講座は国が通常の外数(別枠上乗せ)で運営費交付金や私学助成金を全額措置する▽国が同講座の医師の採用を全面的に支援する─などの手順を説明した。
また、個人情報の厳格な管理を前提に国民の健康情報を一元的に管理し、一次予防から三次予防までの保健事業を国民のライフサイクルに応じて「生涯保健事業」として実施すべきと訴えた。(4/22MEDIFAXより)