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【国民会議】地域包括ケア実現へロードマップを/国民会議

 政府の社会保障制度改革国民会議(会長=清家篤・慶應義塾長)は6月13日、地域包括ケアシステムの構築をめぐり意見を交わした。重要性は認識されても具体的なイメージが湧かないことや、国民的な盛り上がりがないこと、地域ニーズの正確な把握など、複数の課題が浮上。委員からは、地域包括ケアシステムを構築するまでのロードマップ作成を求める声が上がり、厚生労働省老健局の原勝則局長は「考えてみたい」と応じた。

 事務局は、さらに議論すべき事項として、介護サービスの提供体制や医療給付の重点化など5テーマを示した。冒頭に原局長が厚労省の目指す地域包括ケアシステムを説明した後、これまで比較的触れられることが少なかった介護問題に議論は集中した。

 地域包括ケアシステムは、重度の要介護状態になっても住み慣れた地域で生き続けられるよう、医療、介護、生活支援などを一体的に提供するシステム。中学校区程度を1単位として、2025年ごろの構築を目指している。医療との関連も深く、病床機能に応じた医療資源の投入により入院医療を強化。早期退院する患者を地域で受け入れる。

 地域包括ケアに関連する資料の提出をかねて求めていた宮武剛委員(目白大大学院客員教授)は「中学校区でネットワークを構築すれば1万カ所になる。地域包括ケアシステムの構築は介護保険創設時に匹敵する大事業だが、盛り上がりも高揚感も感じられない」と苦言を呈した。宮武委員は実現に向けた課題を▽省庁と部局の壁を取り払う推進本部の設置▽地域特性に応じた構築を目指し地域の実践例の収集▽地域ニーズの把握―の3点に整理した上で「3年ごとの介護保険事業計画はあるが、25年を目標にしたロードマップを中央でも地域でも作ることをお願いしたい」と求めた。

 原局長はロードマップの作成について「考えてみたい」と回答。現在、全国から具体的な事例を集めていることも明かし「まとまったら、優れた市町村の首長さんに発表してもらうなどして普及させていきたい」と意欲を見せた。

●医療のパラダイム転換
 大島伸一委員(国立長寿医療研究センター総長)は、地域包括ケアに対する医師の関わりを語った。「これまでの治す医療から、治して生活を支える医療に変わる。今後、高齢者について強調するときは、医療と介護の目的はほぼ同じだ。健康や生活を支援するために体の状況をどうケアするかの視点で、地域包括ケアにどう貢献できるかが医療の役割だ」とし「医師にとって、ものすごく大きなパラダイム転換」と訴えた。

●医師国保は解散し健保組合設立を/国民会議で権丈委員
 事務局が示した国保組合の概要についての資料に関連し、権丈善一委員(慶應大教授)が「医師国保を解散して国庫負担を国に返上し、医療関係者は自ら健保組合をつくるべき」というアイデアを披露した。

 権丈委員は、医師国保に国庫補助が入っていることを「正当性がない」と批判。医師国保に加え、歯科医師国保、薬剤師国保の加入者がそろって健保組合をつくれば、計64万人で健保連の中でも最大規模になるとし「いずれは医療者が、支払い側委員として中医協に出席する。これは医療界が前向きな未来に進む明るい話だ」と訴えた。(6/14MEDIFAXより)

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