【国民会議】国民会議で診療報酬の長期プラン/遠藤会長代理が検討を提案  PDF

【国民会議】国民会議で診療報酬の長期プラン/遠藤会長代理検討を提案

 社会保障制度改革国民会議(会長=清家篤・慶応義塾長)の第2回会合が12月7日、首相官邸で開かれた。厚生労働省で医療・介護・年金・少子化対策などの審議会部会長を務める委員が各分野の論点や課題などを報告した後、自由討論を行った。遠藤久夫会長代理(学習院大経済学部教授)は「国民会議で診療報酬の長期スパンを考えるという方法もあり得るのではないか」と提案した。(資料52ページ)

 医療分野の意見交換では宮武剛委員(目白大大学院客員教授)が「年金や少子化対策に比べ、医療や介護は機能強化や負担の在り方の議論が不明確。国民会議でクリアにすべきだ」と指摘した。これを踏まえて遠藤会長代理は、法改正で医療機能を強化する方法もあるが、診療報酬で対応する方法もあると指摘。急性期や在宅医療に手厚く点数を付けた過去の改定を引き合いに「診療報酬を通じて機能強化している」とし、「現在は医療保険部会と医療部会で改定の基本方針を作り、中医協で個別の価格を決めているが、国民会議で診療報酬の長期スパンを考えるやり方もあり得るのではないか」と述べた。

 遠藤会長代理は国民会議終了後の会見で、この点について「医療保険部会と医療部会の上部組織として、国民会議が何らかの長期的な方向性を考えることはあり得るというレベルのことを申し上げた。過去に急性期の病院を救うために厚く手当てしたことがあったが、やろうと思えば同じようなことができるというニュアンスだ」と述べた。ただ、「まだ国民会議で合意したわけではない」とも述べ、「長期スパンがどれくらいを指すのかも含めて今後の検討課題だ。増税に伴ってというレベルの話なのか、さらに、長期的な人口統計の変化を見ながらなのか。現時点で何らかの考えがあるわけではない」とし、今後の議論次第だとした。

 医療分野の議論では、このほかにも委員から「高齢者は複数の疾病を抱える。1人の医師が総合的に高齢者を診療すれば多剤投与を防げるし、適切な医療も提供できる。患者1人当たりの医療費も節約できる」(大島伸一・国立長寿医療研究センター総長)、「今後、急激に人口が減少する。在宅医療と地域包括ケアの境目を少ない人材でも支えられる体制づくりが必要」(増田寛也・野村総研顧問)などの意見があった。

 国民会議の進め方をめぐり、清家会長は終了後の会見で医療や介護などの各分野を検討する場合、意見集約する「分科会」形式ではなく、「ワーキンググループ」か「研究会」形式を取る考えを示した。「決定するのはあくまでも国民会議だ」とし「必要だと判断すれば設置する」と述べた。医療法や保健師助産師看護師法の改正案については、厚労省が取りまとめた後、国民会議に報告することになりそうだ。(12/10MEDIFAXより)

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