【国民会議】国民会議、在宅移行と医介連携が焦点に/国保広域化は一致
政府の社会保障制度改革国民会議は6月10日、医療分野の集中討議をした。医療提供体制の議論では遠藤久夫委員(学習院大経済学部長)が、医療と介護の関係者が特別部会のような形で集中的に審議することが重要だと主張し、在宅医療や医療・介護連携の重要性に焦点が当たった。国保の運営は、市町村に保険料の徴収業務などを残したまま広域化する「分権制」が浮上した。
国民会議は2巡目の議論に入った。事務局は「さらに、議論すべき事項?」として▽国保制度▽被用者保険・高齢者医療制度▽医療提供体制―の3つの課題を提示。議論では権丈善一委員(慶応大教授)が「提供体制の改革が最優先課題。改革をしないと2025年までの医療は持たない」と危機感をあらわにすると、大島伸一委員(国立長寿医療研究センター総長)は「1つの臓器を治し、50−60代の生命予後を延長させることが目標だった20世紀型の医療はもう通用しない。医療は大きな転換点にある。全身を診ることができなければ、80歳、90歳の高齢者医療はうまくいかない。専門医ばかりを養成するシステムを変えなければ医療は変わらない」と問題提起した。
遠藤委員は社会保障審議会・医療保険部会の議論の内容を紹介した上で、制度論に言及した。「全ての機能の病院で平均在院日数の短縮を目指す以上、最終的な受け皿は在宅になる。在宅医療や、医療と介護の連携の進み方は重要だ」と指摘。「制度横断的な議論をするため、介護と医療の関係者を集めた社保審の特別部会のようなもので集中審議をし、提供体制と診療報酬の在り方を調整することが必要」と提案した。 遠藤委員は会合終了後の記者会見で自身の発言について「医療と介護はカルチャーが違う。厚生労働省内の部局も違う。私は医療側の人間で、在宅医療の話は丁寧にやるが、介護との連携はあまり詳しくやらない。逆もそうではないか。そこがネックとすれば、形はともかく両方の関係者で議論したらどうかということ」と説明。
一方、国保の広域化には多くの委員が賛同した。運営主体を都道府県化した場合でも、保険料の徴収などは市町村が責任を持つ「分権制」が賛同を集めた。宮武剛委員(目白大大学院客員教授)は「都道府県が運営しても県内で均一の保険料にはならない」とし、遠藤委員も同調した。山崎泰彦委員(神奈川県立保健福祉大名誉教授)は「保険料の未納には市町村が責任を持つ。そうした分権的広域化になる」と述べた。
清家会長は、分権的要素を持つ都道府県単位への広域化は共通認識だと整理。総報酬割で浮く財源については、少なくともその一部を国保の持続可能性向上に活用する方向だとの認識を示した。(6/11MEDIFAXより)