【国民会議】国民はどんな医療を受けたいのか/国民会議で問題提起  PDF

【国民会議】国民はどんな医療を受けたいのか/国民会議で問題提起

 社会保障制度改革国民会議(会長=清家篤・慶応義塾長)は2月19日、▽経団連▽経済同友会▽日本商工会議所▽連合−の4団体から社会保障制度改革についてヒアリングした。財源負担の議論に終始する各団体に対し、国立長寿医療研究センター総長の大島伸一委員が「どんな医療を受けたいのかという話が全く出てこない」と指摘し、「国民として受けたい医療とは」について各団体でどのような検討がされているのか説明を求めた。

 大島委員は、終末期医療での胃瘻の選択を例に挙げ「(これまでは)医者の価値観で、胃瘻が選択されない医療機関がある一方、どんどん胃瘻がつくられることもあった」と説明。「今の社会状況を考えた場合、(今後は)医療側の専門家だけで医療の中身を決定することは絶対あり得ない。国民が、医療を受ける側が、どういう考え方で何を要求するかが大きな要素になってきている」とし「(各団体で)そういう議論はあるのかないのか、どう考えるのか」と質問した。

●「診療報酬で医師の技術評価を」/経済同友会
 ヒアリングに出席した経済同友会・政策調査第2部の篠塚肇部長は「まだこれから議論が必要。課題とさせていただきたい」とした上で、「一部始められていると思うが、医療のデータを丹念に蓄積いただき、個人情報の部分は守りつつ公開して、どういう医療機関、あるいはどういう先生にはどういう実績があるかなどに取り組むことも課題認識の方向性ではないか」と述べた。「診療報酬のところで、医師の報酬に技術的な要素を加味することも一つのアイデア」とも述べた。

 経団連の斎藤勝利副会長は、どういう医療を受けたいかについて細かく議論したことはないとした上で「将来的な医療コストを節減するには、予防医療を徹底することが一つ」とした。また、「自分の身体のことは自分で、というセルフメディケーションが大事と考えている。経団連でも活字に落として周知し始めた段階」と説明した。

 日本商工会議所の中村利雄専務理事は、難しく敏感な問題なので議論したことがないとした上で「ただ、高額医療や終末期医療の問題などについて、どうやって抑制することが可能かということを検討すべきとの議論はある」と述べた。

 連合の花井圭子総合政策局長は「どういう医療を受けたいか議論したが、たどり着いたのは、患者・家族が医師と信頼関係をどう築くか。その中でどういう医療を受けたいのかが一番重要ということになった」とした上で「終末期医療もいろんな議論があるが、そこも結局、信頼関係が互いに納得する医療につながる」と述べた。(2/20MEDIFAXより)

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