【国民会議】国保運営、都道府県化の流れ加速/国民会議  PDF

【国民会議】国保運営、都道府県化の流れ加速/国民会議

 政府の社会保障制度改革国民会議は4月22日の会合で、4回連続で実施した医療・介護分野の議論をいったん終えた。3月下旬から始まった医療・介護の討議で見えてきたのは、国保運営を現在の市町村単位から都道府県単位に広域化する方向性だ。22日の会合でも多くの委員が賛同した。同時に議論されている後期高齢者支援金への総報酬割の導入もコンセンサスは得られたが、確保できる財源の使途は議論が煮詰まっていない。

 国民会議では、毎年4000億円の赤字を計上している国保を「ラストリゾート」などの表現で重要視した。22日の会合で国保について口火を切ったのは、岩手県知事や総務大臣経験者の増田寛也委員(野村総合研究所顧問)だ。「国保の持続可能性が危ういのは共通認識で、総報酬割で浮いた財源を国保に投入すべきというのが私の立場」と表明。ただ、「前期高齢者の給付に充当すべきという意見もあった。きちんと方向を出さないといけない。保険者を都道府県にするかどうかの重要なポイントだ」とも述べた。駒村康平委員(慶応大経済学部教授)は、最終的に都道府県中心でよいとしつつも、きめ細かな保険事業ができなくなる可能性に触れた。

 一部の懸念はあるものの、持続可能性の向上だけでなく「地域医療計画の主体と連動させるべき」との観点からも、国保の都道府県化はおおむね共通認識となりつつある。

●総報酬割はコンセンサス
 総報酬割でできる財源については遠藤久夫委員(学習院大経済学部長)が「社会保障審議会・医療保険部会では、前期高齢者の給付費に充てるという議論はあったが、国保に入れるというアイデアは明確に出ていない。財源不足でできなかった高額療養費制度の拡充に使うこともあり得る」とし、使い道は比較考慮すべきとの立場を示した。

 会合の最後には財務省の山口俊一副大臣が「総報酬割で浮く公費は財政健全化に充てるのが私どもとしては最も望ましい。いずれにせよ被用者保険制度だけでなく国家財政、あるいは国民皆保険制度全体を俯瞰した上で効果的に活用すべき」と発言した。また、「消費税増収分も、改革効果が具体的に見込まれる分野で使うべき」と牽制した。

 浮いた財源の使途は今後の検討事項だが、総報酬割の導入については清家篤会長(慶応義塾長)が終了後の会見で「委員間での異論はない」と述べた。

 次回は少子化対策、次々回は年金を想定している。6月前半には再び医療・介護が議題になる見通し。(4/23MEDIFAXより)

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