【国民会議】医療改革、地域ごとの分析・対応も必要/国民会議
社会保障制度改革国民会議(会長=清家篤・慶応義塾長)は1月21日、政権交代後初めて会合を開き、これまで2回の会合で上がった意見を振り返った上で、社会保障制度改革全体について自由に意見交換した。医療改革については、「全国一律」ではなく大都市部、中規模都市、山間・農村部など「地域ごと」に異なる医療資源の状況や今後の高齢化の進展予測などを分析し、対応を検討すべきとの意見が複数の委員から上がった。
● 診療報酬の地域特性評価「可能か検討を」/遠藤委員
遠藤久夫委員(学習院大経済学部教授)は「地域ごとに医療ニーズは変わってくるし医療資源も違う」と指摘。その上で「全国一律に行っている規制をどう緩和するか」がポイントの一つになるとした。全国一律の例として診療報酬を挙げ「過疎地域では若干緩めるということを特定のものではすでにやっている。そういうことを拡大するかなども検討してよいのではないか」と述べ、「地域ごとに医療政策の柔軟性はあってもよい」との考えを示した。ただ、「公平性の観点からは一律にということもある。どこを国がやるかは明確にしなければならない」と述べた。
●「 医療圏ごとに経営情報データベースを」/権丈委員
権丈善一委員(慶応大商学部教授)は「前の国民会議から『あるべき医療』は示されている」とした上で、「今後は描いている像をどのように実現するか。2025年のマクロとしての数値を各2次医療圏に落とし込んでいき、各地域で経営情報のデータベースを作っていくことが必要」と述べた。
●「地域包括ケア、山村では工夫必要」/田村厚労相
出席した田村憲久厚生労働相も「地域包括ケアも都会では成立するかもしれないが、山村地域では何らかの工夫が必要」と指摘。「医療提供体制をどうするのか、地域の医療と介護をどうするのか一つの答えを頂きたい」と求めた。
●「暮らしの安心も取り戻す」/安倍首相
会合には冒頭に安倍晋三首相も出席した。安倍首相は「自助・自立を第一に貴重な財源を有効に活用しつつ、持続可能な制度の確立を目指してしっかりと議論を尽くしていただくようお願いする」と挨拶した。また、「受益の均衡の取れた社会保障制度による暮らしの安心を取り戻したいという強い気持ち」から社会保障制度改革推進法を成立させて国民会議を設置したとし、「暮らしの再生は経済の再生とともに安倍内閣の重要課題の一つ。全力で取り組んでまいりたい」と述べた。
●次回は経済界からヒアリング
国民会議の次回以降については、まず社会保障制度の総論的な観点で経済界などからヒアリングする。ヒアリングを2回程度実施した後、医療と介護について優先的に議論を開始する予定。医療に関連する団体からのヒアリングなどは、個別の議論に入ってから実施する方針だ。ヒアリング団体の選定などを一任された清家会長は「できるだけ本音ベースの議論ができるようにしたい」と述べた。(1/22MEDIFAXより)