【国民会議】公費割合の再設計「唯一の最重要論点」/国民会議で財政審委員  PDF

【国民会議】公費割合の再設計「唯一の最重要論点」/国民会議で財政審委員

 財政制度等審議会財政制度分科会の田近栄治会長代理(一橋大国際・公共政策大学院教授)は2月28日、社会保障制度改革国民会議に出席し、財政から社会保障制度を見た場合、公費負担割合の再設計こそ唯一の最重要論点であるとの考えを示した。具体例として、後期高齢者医療制度と介護保険制度の公費負担割合が5割に固定化されていることに言及。国際公約である基礎的財政収支(プライマリーバランス)目標を達成しつつ、社会保障制度を持続可能なものとするためにも不可欠と指摘した。

 田近氏は社会保障制度について、社会保険である以上は国の関与は当然としながらも「かかった給付の半分は最初から払ってあげるという関与は適切か」と指摘し、後期高齢者医療制度と介護保険制度の公費負担割合が5割に固定されている点を問題視。「ここでぜひ議論していただきたい一つは、公費自身をどう設計するかだ」と求め、検討すべき数ある論点の一つではなく「唯一にして最重要な論点である」と強調した。

 消費税率を10%に引き上げた後の財源については「消費税に訴えるしかないにしても注意深くなければならない」とし、「(引き上げを)安易にすべきではなく、社会保障における公費とは何か、その(公費の)出し方について根本に戻った議論が必要だというのが財政審の主要な議論だったと思う」と述べた。

●機能分化へ「診療報酬でメリハリを」/土居氏
 財政審財政制度分科会の委員として同じく出席した土居丈朗氏(慶応大経済学部教授)は、2025年に向けて病院病床を「高度急性期」「一般急性期」などに分類する必要性をあらためて指摘し、「診療報酬のメリハリなど、ある種の政策誘導も伴いながら取り組んでいかなければ実現できない」と強調した。国民会議の権丈善一委員(慶応大商学部教授)は、機能分化は医療の質を上げるためにも必要とし「(機能分化のための)政策手段をほぼ持っていなかったので、そこを何とか検討しなければいけないというのが大きな課題と思っている」と応じた。

●地方行政3団体、医療保険の一本化求める
 会合には、全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方行政3団体も参加。3団体連名の資料を提出し、国保を含めた医療保険制度の一本化を求めた。将来の一本化を見据え、まずは国保の財政を都道府県単位に広域化すべきとの認識も示した。(3/1MEDIFAXより)

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