【国民会議】どの政権でも変わらない社会保障制度を/国民会議が初会合
社会保障制度改革国民会議(会長=清家篤・慶応義塾長)の初会合が11月30日、首相官邸で開かれた。設置期限の2013年8月21日までに、社会保障制度を将来にわたって持続可能なものにするための結論を出す。政府は議論の内容を踏まえて順次法案を作成・審議し、成立させる構えだ。(資料後掲32ページ)
会合には委員のほかに、野田佳彦首相や岡田克也副総理、三井辨雄厚生労働相、城島光力財務相、樽床伸二総務相、中塚一宏少子化対策担当相ら関係閣僚も出席した。野田首相は冒頭の挨拶で「社会保障改革は道半ばだ」とし、設置期限内に議論してほしいと要請。続いて岡田副総理は「選挙のたびに社会保障が過度に争点化し、政権ごとに制度の根本が変わるのでは国民生活の安定につながらない。どの政権でも長くたえられる社会保障制度に向けて、専門家を中心に具体策を議論してほしい」と述べた。
初会合では国民会議の進め方が議題になった。日本医師会など関係団体から意見聴取する可能性も高まっている。意見交換の場面で岡田副総理は「医師会など関係者は国民会議の委員に入れないと判断したが、必要に応じて話を聞くことはあり得る。清家会長の判断次第だが、意見聴取は必要だと思う」と発言した。国民会議の運営規則では「会長が必要と認めるときには委員以外からも意見を聞くことができる」と定められている。清家会長は終了後の会見で「国民会議の議論で関係者の意見を聞く必要があるということになれば意見聴取する。だが、国民会議は専門家の視点で論理的・実証的な議論をするところであり、関係者の利害を調整する場ではない」ともくぎを刺した。
会長代理に就任した遠藤久夫委員(学習院大教授)は「医療問題全般を取り上げるという印象を持ったが、医療だけは幅が広い。どのレベルまで国民会議で議論するのか。各審議会との関係性を整理しなければ8月までに結論を出すのは難しい」と指摘。これに対して岡田副総理は「国民会議の下に医療分科会をつくり、論点整理してもらうというのも考え方だ。そういった進め方についても議論してほしい」と応じた。清家会長は「3党協議や国民会議の議事を見ながら決める」との考え方を示した。
出席各委員からは医療に関する発言が相次いだ。永井良三委員(自治医科大学長)は「医療ではデータを集めて、後日フィードバックできる制度が必要だ」と提案。大島伸一委員(国立長寿医療研究センター総長)は「20世紀の医療は病気を治すものだったが、今後の高齢化社会では治すだけではなく終末期や緩和もある。短期的な問題と中長期的な問題を同時に考えていくべきだ」と指摘した。伊藤元重委員(東京大大学院教授)は「医療と介護は給付も大切だが、従事者の雇用問題も大事」と発言。このほかにも「社会保障の全体像が見える議論を」「国民に理解を求めるのと同時に、共感を得られるような結論が必要」「社会保険と税財源の役割分担をすべき」などの意見があった。(12/3MEDIFAXより)