【国会】必須の予防接種法、懸案は医療法提出/通常国会が開幕
与党に返り咲いた自民党政権下による初の通常国会が1月28日、召集された。会期は6月26日まで。その1カ月後に参院選を控えるため、延長の可能性は低い。厚生労働省は任意接種のHPV・Hib・小児用肺炎球菌の3ワクチンを2013年度から定期接種化する予防接種法改正や、後発医薬品使用の原則化を盛り込む生活保護法改正案などの提出を検討している。病床の機能分化に関する医療法改正案も懸案事項だ。年度内に任期が切れる2人の中医協公益委員の同意人事も重要案件となる。
通常国会では、まず12年度補正予算案の成立を目指す。1月29日に閣議決定される13年度予算案の成立は年度越えする見込みで、短期間の暫定予算が組まれることになりそうだ。暫定予算の編成は12年に続いて2年連続となる。
予算関連以外の提出法案には、再生医療に関するものも控えている。再生医療の自由診療と臨床研究に一定の規制を設ける法案のほか、自公民3党の有志で検討してきた再生医療を総合的に推進する法案も、議員立法をベースに提出を視界に入れている。再生医療は「規制法と推進法に薬事法を加えた3方向から後押しする」(自民党厚労関係議員)構えだ。このほか、病院などの所有者に耐震診断を義務付ける国土交通省提出法案も注目される。
ただ、今通常国会は予算関連法案の審議が4月以降までずれ込むほか、会期が延長される見込みもない「短期決戦型」で、予算関連以外の法案をどこまで提出・審議できるかどうかは不透明といえる。
●公益同意人事は西村、印南両委員
中医協の公益委員は1期2年の任期で、再任するには衆参両院の同意が必要だ。今回は薬価専門部会長を務める西村万里子氏(明治学院大法学部教授)が2月28日に、印南一路氏(慶応大総合政策学部教授)が3月31日に任期満了を迎えるため、同意人事の対象になる。09年の通常国会では、民主党など野党4党の反対多数で当時の前田雅英・薬価専門部会長が不同意になったことがある。
●安倍首相、経済成長なければ社会保障が揺らぐ
安倍晋三首相は召集日の1月28日、衆参両院で行った所信表明演説で経済再生の重要性を強調した。経済成長がなければ所得が減り「安心を支える社会保障の基盤も揺らぎかねない」と指摘。人工多能性幹細胞(iPS細胞)の実用化は、健康・長寿社会の実現に貢献するだけでなく「新たな富と雇用も生み出す」とし、その重要性を訴えた。(1/29MEDIFAXより)