【参照価格】参照価格制度に否定意見「患者負担増など懸念」/薬価部会  PDF

【参照価格】参照価格制度に否定意見「患者負担増など懸念」/薬価部会

 中医協薬価専門部会(部会長=西村万里子・明治学院大教授)は8月22日、次期薬価制度改革に向け、長期収載品の薬価の在り方について議論した。また、参考人が海外の参照価格制度について説明したが、診療側や支払い側委員からは、患者の自己負担増への懸念や、長期的には薬剤費削減につながらないとの報告があることなどから、参照価格制度を議論の俎上に載せることに否定的な意見が相次いだ。

 部会では参考人の坂巻弘之・名城大薬学部教授が、ドイツやフランスの参照価格制度について紹介。薬剤費への影響については「短期的には医薬品支出総額が減少したとの報告もある一方で、長期的には不変、増加するとの報告が多い」などと説明した。

 これに対し診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、参照価格制度を導入すれば、▽自己負担増加で患者が必要な薬剤を使用しなくなる▽製薬企業が新薬開発原資の回収に手間取り必要な薬剤が供給されなくなる―などの問題が起こりかねないと指摘。「政府内には医療費削減の一つの方法として導入したほうがいいとの考えの人が一部にいるが、参照価格制度はかつて中医協で議論したときに明確に否定したはず。日本に持ち込むことは明確に否定す
べき」と述べ、こうした考えを中医協全体の共通認識にすべきと訴えた。

 支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)は、「(参考人の説明では)短期的には薬剤費の削減に役立つが、長期的にはむしろ上がる懸念もある。ここで参照価格を議論するよりは、長期収載品の薬価や後発品の最初の値付けをどうするかなど現行の算定方式そのものについて議論を深めるのが先だろう」と同調。診療側の三浦洋嗣委員(日本薬剤師会副会長)も「全く同感。今ここで議論する状況にはない」と続いた。

 一方で、支払い側の小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は「導入の可否についてはもう少し検討してみて、最終的に結論を出せばいいのではないか」と述べ、唯一検討の必要性を指摘した。

 厚労省版提言型政策仕分けが7月にまとめた後発医薬品使用促進策に関する提言には「参照価格制度の検討」が盛り込まれている。しかし厚労省は部会終了後の取材に対し、参考人が参照価格制度の資料を提出したことについて「長期収載品の議論の参考として示したものであり、政策仕分けの提言とは関係ない」と説明した。(8/24MEDIFAXより)

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