【厚労省通知】特例病床の算定式、初の提示/厚労省、都道府県に通知
厚生労働省は、病床過剰地域でも特例的に病院の開設・増床を認める「特例病床」について、増床が必要な根拠を明確にするための算定式を初めて都道府県に示した。厚労省が注目するポイントをより明確にすることで、事務手続きを簡素化するのが狙い。全国知事会からの指摘などを踏まえ、4月24日付で留意事項を通知した。
新たに示された留意事項は▽特例による増床が必要な理由の明確化▽増床する病床数の根拠の明確化▽特例の要件に該当することの明示▽これまで特例で認められた病床の利用状況▽都道府県医療審議会の意見書の添付▽医療機関の概要などその他必要な添付書類─の6項目。
増床数の根拠を明確化するために用いる算定式として?特定の疾患(事業)について地域における入院待機患者数×疾患別の平均在院日数÷365日?(増床を行う医療機関の当該疾患(事業)に対応する病棟等の病床利用率−100%)×当該病棟等の病床数?疾患(事業)別圏域外流出患者数×疾患別の平均在院日数÷365日、疾患(事業)別圏域外救急車搬送流出患者数×疾患別の平均在院日数÷365日?NICU=都道府県内の総出生数÷(1万人×30床)、GCU=都道府県内の総出生数÷(1万人×30床×2倍)─を示した。算定式を用いた上で、医療従事者の確保予定や施設構造などを踏まえた増床数を明らかにするよう求めている。
特例病床として認められる病床の使い方は▽がんまたは循環器疾患の専門病床▽小児疾患専門病床▽周産期疾患にかかる病床▽発達障害児の早期リハビリテーションなどにかかる病床▽救急医療にかかる病床▽薬物・アルコール中毒性・老人性・小児・合併症を伴う精神疾患にかかる病床▽神経難病にかかる病床▽緩和ケア病棟▽開放型病床▽後天性免疫不全症候群にかかる病床▽新興・再興感染症にかかる病床▽治験にかかる病床▽診療所の療養病床にかかる病床─の13種類がすでに示されている。
●有床診の活用もあらためて周知
病床過剰地域での新たな病床の設置については、有床診療所が活用できることも周知した。有床診は、医療計画に位置付けられることを前提に▽在宅医療の推進▽へき地▽小児・周産期など地域で特に必要な医療─のいずれかの理由であれば、都道府県知事への届け出だけで新たな病床を設置できる。
都道府県への通知では、国が設置している医療機関の増床や病床種別を変更することについて都道府県知事が医政局長に意見書を提出する際、今後は都道府県の医療審議会の意見を聞くよう求めた。(4/30MEDIFAXより)