【協力けんぽ】国庫補助率「維持」なら保険料率引き上げ/協会けんぽ収支見通し
全国健康保険協会(協会けんぽ、小林剛理事長)は11月2日、厚生労働省内で会見し、国庫補助や後期高齢者支援金の負担方式への措置が現状のままとなった場合、2013年度の保険料率(平均)を現在の10.0%から10.1%に引き上げることになるなどの試算を示した。
協会けんぽは12年度までの3年間で保険料率を8.2%から10.0%へと大幅に引き上げた。小林理事長は会見で「保険料をこれ以上引き上げることはできない」と述べ、年末の予算編成に向けて国庫補助率の引き上げや、被用者保険が負担する後期高齢者支援金の全面総報酬割化に向けた要請を続けるとともに、協会けんぽの財政状況を議論することになっている11月7日の社会保障審議会・医療保険部会で協会の主張を強く展開すると述べた。
協会けんぽは12年度収支について、標準報酬月額が見込みより高いことや4−7月の医療給付費の伸びが見込みよりも低く推移していることから、単年度の収支差はプラス2482億円となり、2年度連続の黒字を見込む。年度末の準備金残高については4432億円となる見込みだ。
13年度については「国庫補助率16.4%」「後期高齢者支援金の負担の3分の1を総報酬割」とした12度までの3年間の特例措置を継続した場合(現状維持)、単年度収支が均衡する「均衡保険料率」は0.1ポイント引き上げて10.1%にする必要があるとの試算を示した。一方、協会が要望する「国庫補助率20%への引き上げ」「後期高齢者支援金負担の全額総報酬割化」が実現した場合は、均衡保険料率は9.8%に引き下げが可能との試算も示した。
また、国庫補助率・後期高齢者支援金の負担方式を現状維持し、保険料率を10.0%に据え置いた場合、13年度の単年度収支差はマイナス802億円となり、準備金残高が3630億円となる試算も示した。
●要望かなっても厳しい財政体質
13−17年度の5年間の収支見込みについても試算を示した。国庫補助率・後期高齢者支援金の負担方式が協会の要望通りとなったとしても、賃金上昇率が過去10年間の平均(マイナス0.6%)で推移した場合には、14年度に収支が赤字化するとともに、16年度には準備金残高が枯渇する。この場合、均衡保険料率も17年度には11.2%に引き上げることが必要になるという。(11/5MEDIFAXより)