【医療関係団体】電力高騰「努力が報われない」/温暖化対策で医療関係団体
エネルギーコストの上昇やCO2排出係数の上昇の責任を誰が取るのか−。地球温暖化対策に自主努力で取り組む医療関係団体の代表らは3月4日、厚生労働省の環境自主行動計画フォローアップ会議で「公定価格の診療報酬で運営する医療機関にとって、いくら努力をしても報われない」と政府の地球温暖化対策への不満を述べた。
会合では、2011年度の地球温暖化対策について、日本医師会と病院4団体で構成する「病院における地球温暖化対策推進協議会」や日本製薬団体連合会などからヒアリングした。
同推進協議会の報告は、全日本病院協会の加納繁照常任理事と日医総研の畑仲卓司研究部統括部長が行った。報告によると、11年度の病院のCO2排出原単位は前年度に比べて6.2%減の106.3kg−CO2/?で、目標の年率1.0%減を大きく上回る削減となった。基準年度の06年度に比べると16.4%の削減で、年率では3.51%減となった(いずれもCO2排出係数を06年度の基準に固定した場合)。
加納氏は地球温暖化対策に向けた医療機関の自主行動について、▽診療報酬(公定価格)で運営する医療機関では患者に価格転嫁することができず、努力が報われない▽患者の療養環境を守る必要がある▽医療安全の確保に電力は不可欠である−と説明。温暖化対策は医療機関のボランティア精神によって支えられているとした上で、最大限の努力が大幅なCO2排出原単位の減少につながっていると強調した。
一方で、最近のエネルギーコストの上昇が医療機関にとって緊急課題になっていることも指摘した。加納氏は大阪市の病院長の立場で、関西電力による電力料金値上げが病院経営に及ぼす影響について説明。多くの急性期病院で利益率は2%程度と指摘し、利益の1割に当たる0.2%程度が電力料金の値上げで縮小されることになるとした。
畑仲氏は、東京電力福島第1原発事故に伴いCO2排出係数が高まっていることについて「医療業界ではコントロールできない」と問題視。排出係数は電気事業者が責任を持って管理すべきと訴えた。医療機関を所管する厚労省にも、需要側の立場から供給側の経済産業省資源エネルギー庁に対し、物を言うべきと迫った。
同会議は意見を踏まえ、厚労省所管団体の11年度における自主行動計画の取り組みについて報告書を今年度内にもまとめる。計画最終年度となる12年度の取り組みや計画の総括については13年度中に報告書をまとめる。(3/5MEDIFAXより)