【医療輸出】日本の医療「海外からのニーズ、今後も高まる」/経産省
外国人患者の受け入れや日本式医療の海外輸出を推進するために、経済産業省のバックアップで設立された一般社団法人「Medical Excellence JAPAN(MEJ)」は1月9日、医療機関や国際医療交流コーディネーターを目指す人などを対象に、医療の国際化についてセミナーを開いた。経産省商務情報政策局ヘルスケア産業課の保坂明課長補佐は、医療の国際化に向けた経産省の取り組みを報告し「日本の質の高い医療サービスや医療技術に対する海外のニーズは今後もますます高まると考えている」とし、産業としての医療を拡大していく必要性を述べた。「医療を産業として経産省は捉えているので、ビジネスとして成り立つことが非常に重要」とも指摘した。
経産省は、国内医療機関に外国人患者を積極的に受け入れる「インバウンド事業」と日本の医療サービスを海外に輸出する「アウトバウンド事業」を行っている。アウトバウンド事業については、2011年度に5カ国8件、12年度には10カ国23件の調査事業を実施し、日本の診断サービスなどのニーズを検証している。保坂補佐によると、4月には経産省事業の第1号として、ロシアのウラジオストクに日本式画像診断センターを開所するめどが立ったという。
●外国人患者の問い合わせ約2000件
外国人患者に対する日本の窓口事業などを行うMEJの山崎敏之事務局長からは、これまでMEJが行ってきた外国人患者受け入れ実績について報告があった。MEJは当初、経産省事業として外国人患者の受け入れを支援してきたが、11年に一般社団法人化した。外国人患者に対し日本での受け入れ医療機関の提案や、医療情報の翻訳、ビザの取得支援といったサポートを提供しており、外国人患者への紹介先として国内の50−60の医療機関と提携している。アウトバウンド事業や海外でのセミナー開催なども進めている。
山崎氏によると、日本で医療を受けたいとする外国人からの問い合わせは11年4月から12年11月の間に1971件。このうち796件については具体的に検討するために医療情報のやりとりをしたという。実際に来日して治療を受けたのは233件だった。
実際に医療情報をやりとりした796件の国別内訳を見ると、中国が334件で最も多く、ロシアの100件と続く。症例別に見ると、がん治療が264件で最多となり、検診・健診の53件、循環器系の39件が続いた。
山崎氏は、実際に治療を受けた233件という数字は国際的に見れば少ないとしつつも、医療情報をやりとりした796件のうち233件が実際に医療を受けていることについて「日本の医療水準が高いことの査証ではないか」と述べた。(1/10MEDIFAXより)