【医療計画】医療計画の可視化分析ツール活用で議論/厚労省・研究会  PDF

【医療計画】医療計画の可視化分析ツール活用で議論/厚 労省・研究会

 厚生労働省医政局は7月31日、「PDCAサイクルを通じた医療計画の実効性の向上のための研究会」(座長=尾形裕也・東京大特任教授)を開き、各都道府県が医療計画を見直す際に活用するツールについて意見を交わした。

 松田晋哉構成員(産業医科大教授)は、どのような患者がどの地域の医療機関を受診したかや、2次医療圏内で医療が自己完結しているかどうかがわかる「医療計画可視化分析ツール」を紹介した。このツールは、レセプトデータなどを集計してグラフ化したもので、患者の年齢や疾病、処置、入院・外来の区分などを表示できる。例えば、がん化学療法を入院と外来のどちらで行っているかなどを地域ごとに分析することで、医療計画を検証するための資料になる。地域ごとに医療機関まで自動車で行く際の運転時間を地図表記すれば、脳梗塞を発症した患者にt−PA治療を行えるかなど、医療計画を詳細に検討する際の材料にもなる。また、国勢調査のデータを活用して医療圏ごとの今後数十年間の人口推移や傷病別患者数の推計などと照らし合わせれば、必要なベッド数を見通す際の参考になる。

 ただ、医療計画を担当する各都道府県職員にはデータの取り扱いに不慣れな人もいることも事実。会合では、こうしたツールをどうすれば有効活用してもらえるかが議論になった。「レセプトデータを都道府県の医療計画担当者に分かりやすく解説し、教育する必要がある」との意見も出されたが、松田構成員は「2年ごとに担当者が代わる実情では医療計画のプロが育ちにくい。むしろ各都道府県の大学社会学部系の研究室や都市計画の担当者、地域の医師会などを巻き込んで活用してもらうべき」と述べた。

 高橋泰構成員(国際医療福祉大大学院教授)は、2次医療圏ごとのデータを読み込み、自動的に文章化する「コメント作成システム」を導入する必要があると主張。松田構成員はこれを受けて「データの分析結果を提示するとともに、医療計画を策定する上で、各地の医療提供者自身が参画するプロセスを組み込まなければ理解を得られないだろう」と指摘し、「医師会や病院会と連携すべき」と意見を述べた。

●医療計画策定の運営体制、調査結果を公表
 医政局指導課は、各都道府県が医療計画を策定した際の運営体制を調べ、速報値として公表した。医療審議会を開催した回数は「3回」が最も多く、圏域連携会議は29府県が開いていた。圏域内の病院の圏域連携会議への参加状況は中央値が17.1%だった。医療審議会の作業部会は43都道府県が設置していた。医療計画全般に関わっていた作業部会は32、5疾病の作業部会が15、5事業の作業部会が11だった。また、作業部会の約9割に医療従事者が含まれていた。(8/1MEDIFAXより)

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