【医療扶助】医療扶助、重複処方の改善策検討を/会計検査院が厚労省に  PDF

【医療扶助】医療扶助、重複処方の改善策検討を/会計検査院が厚労省に

 会計検査院は3月20日までに、生活保護の実施状況を検査し、結果を報告書にまとめた。医療扶助については、向精神薬の重複処方が改善されない被保護者への指導が効果的に行われるよう、厚生労働省に方策を検討することを求めている。

 検査は、511の都道府県・市町村における2011年度の保護費を対象に実施。検査対象となった金額は2兆6445億円超(うち国庫負担金相当額は1兆9833億円超)に達し、11年度の保護費全体の75%超を占めた。医療扶助は、特に入退院に関連した手続きや薬剤の処方に問題がないかを調べた。

 210の自治体について、11年11月分の電子レセプトなどを基に、精神科の一般的な治療薬5成分(▽トリアゾラム▽ゾルピデム酒石酸塩▽ブロチゾラム▽フルニトラゼパム▽エチゾラム)を複数の医療機関から処方された患者を調べたところ、該当する被保護者は延べ4328人に上った。

 さらに、添付文書に記載されている用法用量を基準に換算し、1カ月間で30日分に相当する量を上回る処方を受けていた被保護者は、3分の2相当の延べ2871人に上った。このうち180日分相当量以上の処方を受けていた被保護者も延べ63人いた。中には最大で医療機関20カ所から処方を受けた被保護者もいた。

●受け入れ先なく長期入院に
 一方、10年度または11年度の長期入院患者で、医療扶助による入院を続ける必要がないことが明らかなのに、退院などに至っていない1199人の疾病を分析したところ、「精神および行動の障害」に分類された被保護者は667人と半数を超えていた。退院などに至っていない1199人のうち、5割近くが5年間以上入院していることも分かった。

 退院などに至らない理由を調べると、介護施設や福祉施設などへの入所が適切だと考えられるのに受け入れ先がない被保護者が662人と半数超に上った。

 これらの結果を踏まえ会計検査院は、自治体が病状の把握や退院後の受け入れ先を確保できるよう、体制を整備する必要性を指摘。厚労省に対し、退院を促進するための指導の充実や、その他の施策との連携を図るよう検討を促した。

 報告書では、高頻度入院者や頻回受診者にも言及。厚労省に対し、高頻度入院者の実態のさらなる把握に努め、対応方針を検討するよう要望した。頻回受診者についても、自治体の台帳整備や訪問指導などを充実させ、受診の適正化に努めることを求めた。(3/24MEDIFAXより)

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