【医療扶助】医療扶助、指定要件を明確化へ/厚労省案、保険指定取り消しも
厚生労働省は9月28日、社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」に、医療扶助の適正化に向けて、医療機関の指定要件と取り消し要件を生活保護法で明確化し、指定に有効期限を導入する方向性を提示した。生活保護法での指定が取り消された場合は、併せて保険医療機関の指定を取り消すことも検討する。2012年秋には報告書を取りまとめ、政府が策定する「生活支援戦略」に盛り込む。
厚労省はこれまでの議論を踏まえ、具体的な制度改革を行う際に参考とするための論点案を提示した。現在、生活保護法による指定医療機関の要件や取り消し要件は、法律上明確に規定されていない。このため健康保険法を参考に、指定要件などを生活保護法で明確に規定することを検討するという。指定有効期間を設定した上で、更新手続きを簡素化することも考える。
現在は生活保護法の指定を取り消されても、保険医療機関の指定取り消しには影響がない。指導監査の実効性を高めるため、医療扶助の指定医療機関と保険医療機関のいずれか一方が取り消された際に、残る一方の指定も取り消し処分となる仕組みが、法制度上、可能かどうかについても検討するとした。
取り消し処分前に指定医療機関を辞退した場合は、指定の取り消しがあった場合と同様に扱い、原則5年間は再指定できないことにすると提案した。
電子レセプトを活用した重点的な点検指導も行う方針を示した。過重な多剤投与など、医療扶助の適正化対象となるレセプトを抽出できるよう機能を強化する。
指定医療機関への指導・調査体制も強化する考えだ。現在、国立病院以外の指定医療機関の指導監督は都道府県知事が行うこととなっているが、法律上、国による直接指導が実施できるようにする。併せて、地方厚生局に専門の指導監査職員を増員することも検討する。
●受給者の健康管理責務を明記
生活保護受給者の健康管理も徹底して行う方向性も示した。受給者自らが健康管理を行うことの責務を生活保護法に明記し、健康面での支援を強化する。
福祉事務所で受給者の健診結果を入手できるようにするほか、福祉事務所に保健師などを配置し、受給者の持つ疾病の早期発見や重症化予防を図るとした。(10/1MEDIFAXより)