【医療情報】医療機関ホームページで初の指針/厚労省検討会が最終案
厚生労働省の「医療情報の提供のあり方等に関する検討会」は6月29日、「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針」の最終案を取りまとめた。医療機関がホームページを作成する際の規範を定めた初めての指針であり、各医療機関に自主的な取り組みを促す。違反者に対する罰則規定はない。
厚労省はすでに示していた指針の骨格に肉付けし、成文化したものを検討会に提示。おおむね了承を得た。今後、事務局で内容を微修正した後、7月半ばからパブリックコメントを募集する。早ければ8月にも都道府県・団体宛てに医政局長通知を出す。厚労省は指針公表後も記載事例を収集し、検討会で議論する考えだ。
指針では、患者保護の観点から「ホームページに掲載すべきでない事項」をまとめた。▽掲載内容が虚偽、客観的事実を証明できない▽他との比較で自らの優良性を示そうとしている▽内容が誇大、医療機関に都合の良い情報などを過度に強調している▽早急な受診を過度にあおる表現や費用を過度に強調している▽科学的根拠が乏しい情報に基づき、患者の不安を過度にあおり、受診や治療を不当に誘引している▽公序良俗に反する▽医療法以外の法令で禁止されている―といった内容は不適切と判断される。
●「日本有数の実績」「県内一の医師数」などはNG
具体例を挙げると、治療後に定期的な処置が必要にもかかわらず「一日で全ての治療が終了する」などと掲載した場合には「虚偽」に当たり不適切となる。「この治療では日本有数の実績」「県内一の医師数」という記載も「自らの優良性を示す表現」に該当し認められない。「知事の許可を取得した病院」などという記載は「ことさらに強調した内容」となり不適切。意図的に古い情報で「医師数」を掲載する場合も「誇大」に当たる。都道府県などが認めていないにもかかわらず、医療機関の名称で「○○センター」と名乗ることもできない。「治療キャンペーン実施中」「治療費50%off」などといった記載は「費用の過度な強調」に当たり不適切。また、「この症状が出ていれば命に関わるので、すぐに受診を」などと呼び掛けることも「患者の不安を過度にあおる」と見なされる。
一方、患者に正確な情報を提供し、受診施設の選択を支援する観点から、治療内容や費用、治療のリスクなど「ホームページに掲載すべき事項」もまとめた。治療内容や費用が医療機関ごとに異なる自由診療が該当する。料金トラブルなどを回避するために治療内容や平均的な費用、治療期間や回数を掲載し、患者に十分な情報を提供するよう求める。平均的な費用が明確でない場合には、治療の最低額から最高額までの範囲を示すなど工夫し、可能な限り分かりやすく表示するよう求めている。(7/2MEDIFAXより)