【医療保険部会】政策誘導は「診療報酬重視」が大勢/医療保険部会、補助金と連携  PDF

【医療保険部会】政策誘導は「診療報酬重視」が大勢/医療保険部会、補助金と連携

 社会保障審議会・医療保険部会は5月16日、前回に引き続き社会保障制度改革国民会議の議論から浮かび上がった論点を検討した。国民会議では医療提供体制の改革に当たり、診療報酬で誘導するより補助金の活用が効果的だというアイデアが出ていたが、医療保険部会では複数の委員が、診療報酬による誘導の効果の高さに言及。そこに補助金的政策を連携させるべきとの認識を示した。

 診療報酬は全国一律の価格で診療行為に支払われ、補助金は特定の政策目的を果たすため、条件を満たした対象に出されるという違いがある。国民会議では権丈善一委員(慶応大教授)が、都道府県の地域医療計画と市町村の地域包括ケア計画に沿った医療機能改革を促すために、消費税収を財源にした基金を造成して補助金的手法で改革を誘導すべきと主張。一方、同じ席上で会長代理を務める遠藤医療保険部会長は、まず診療報酬で誘導し、その間に地域医療計画と連動させる仕組みをつくるべきとの見方を示していた。

●双方が必要/b<
 医療保険部会は16日の会合で、補助金的手法と診療報酬を論点の一つに挙げて議論した。鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「診療報酬と補助金の両方が必要」との認識を前提にした上で「診療報酬改定の影響は非常に大きい。わずかな上げ下げで非常に効果的に誘導される。メーンは診療報酬で、補助金はサブだろう。補助金はどうしても公的なところが中心になりがちだ」と述べた。

 武久洋三委員(日本慢性期医療協会長)は「補助金はもらうことが目標になることがある。診療報酬で点数を付けると、それを取るために自己改革する。それが地域の医療機能を向上させる」とし、岩本康志委員(東京大大学院教授)は「補助金の活用はしっかり検討しないと難しい」と述べた。

 白川修二委員(健保連専務理事)は「診療報酬、医療法(改正)、補助金などで医療提供体制を充実するわけだが、相互の連携があまりよくなかったのが反省点」と振り返った。

 診療報酬と補助金の連携については岩村正彦部会長代理(東京大大学院教授)も「どちらも一長一短があり、利点を組み合わせるのがよい」と指摘。「補助金には年度による財源の限度がある。機能分化に対応しためりはり付けを補助金(だけ)でやると過激な手法になり、混乱を引き起こす危険性が高い」との懸念も示した。(5/17MEDIFAXより)

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