【医療保険部会】「紹介状なしは1万円負担」の是非は/医療保険部会で議論  PDF

【医療保険部会】「紹介状なしは1万円負担」の是非は/医療保険部会で議論

 社会保障審議会・医療保険部会は5月16日の会合で、外来の役割分担について議論した。紹介状を持たずに一定病床数以上の病院を外来受診した場合の自己負担と、かかりつけ医の在り方が論点。社会保障制度改革国民会議で提案された初診・再診の両方に一定額(例えば1万円)を支払うというアイデアが議論の中心になった。そのまま賛成する意見は出なかったが、「断固反対」という雰囲気ではなく、何らかの改革をしてフリーアクセスを守らなければならないという問題意識がにじんだ。

 国民会議では、フリーアクセスを守るためにも、紹介状なしで一定病床数以上の病院を外来受診する場合には、一定額の自己負担を支払う制度を導入すべきという意見が出ていた。再診時にも採用することを念頭に置いており、一定額については例として「1万円」が示されていた。患者から特別の料金を徴収できる現行の選定療養からさらに、踏み込んだ意見といえる。

 白川修二委員(健保連専務理事)は「フリーアクセスが少し行き過ぎているとは感じている」としつつも、一定額の自己負担導入については「やりすぎると低所得者が病院に行きづらくなる懸念がある」と指摘。岡誠也委員(全国市長会国民健康保険対策特別委員長)は、かつて医療保険部会で「受診時定額負担」に対する反対意見が強かったことに触れ「低所得者からは受け取れないが、それを病院の窓口でどう判定するのか」と述べた。

 岩本康志委員(東京大大学院教授)は「金銭的インセンティブでは解決できない。病院に行きたがるという意識を変えない限り、仮に1万円の定額負担制度を採用しても必要のない人が病院に行くことは起こり得る」と問題提起。小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は、フリーアクセスを守るために緩やかな制限を加えるという考え方に賛同した上で「選定療養に替えて定額の自己負担を導入するなどの提案は、医療保険部会でも検討を進めるべき」と求めた。(5/17MEDIFAXより)

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