【医療保険】70−74歳負担など引き続き意見聴取/医療保険部会
厚生労働省は11月28日、社会保障審議会・医療保険部会を東京都内で開き、2013年度予算編成に向けて70−74歳患者負担の2割化や全国健康保険協会(協会けんぽ)への財政支援措置などについて引き続き検討を行った。厚労省は健保組合の法定準備金について、現行で3カ月分となっている準備金を約2カ月分とすることを提案し、13年度からの見直しを目指す考えを示した。
70−74歳の患者負担については、11月16日の前回/p会合に引き続き出席委員から意見を求めた。医療提供側委員では鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は前回同様、負担割合が1割から2割に引き上げになる対象者の受診抑制について懸念を表明。堀憲郎委員(日本歯科医師会常務理事)は他の先進諸国に比べて窓口負担が重いとの認識を示し、現状維持を主張した。
前回厚労省が示した70歳に到達した人から本則の2割負担とする案については当事者を代表する川尻禮郎(全国老人クラブ連合会理事)や公益委員から「やむを得ない」と支持する意見が出る一方で、齊藤正憲委員(経団連・社会保障委員会医療改革部会長)や山下一平委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)といった経済界を代表する委員らは、低所得者に配慮した上で早急に本則の2割に戻すべきとの意見をあらためて示した。
●協会けんぽ特例措置延長に理解
12年度で期限切れとなる協会けんぽの特例措置についても引き続き議論した。13年度の保険料率が10.0%を超えることがないよう必要な措置を行うことへの異論はなく、国庫補助率を20%へ引き上げることや政令改正が必要となる準備金の取り崩しへの積極的な意見もあった。一通り出席委員が意見を示した後、遠藤部会長は「(特例措置の)延長はやむを得ないのではないかという意見と受け止めた」と述べ、「国庫補助率16.4%」「後期高齢者支援金の3分の1での総報酬割」の延長に理解を示した。
●健保組合の準備金、約2カ月分に圧縮
健保組合の法定準備金についても議論を行った。現行の健康保険法・同法施行令により、インフルエンザのまん延といった医療費の変動リスクや健保組合の解散への備えとして、健保組合は医療給付費・後期高齢者支援金等拠出金の3カ月分を準備金として積み立てなければならない。厚労省は医療費変動リスクや解散時のリスクを見直し、準備金を約2カ月分に圧縮することを提案した。大島一博保険課長は13年度から適用できるよう手続きを進めたい考えを示した。
健保組合の財政状況は厳しく、12年度予算では全組合の約9割が赤字となる見込みを示している。準備金の積み立ては財政運営の大きな負担になっていることから、健保連が見直しを求めていた。(11/29MEDIFAXより)