【医療保険】70−74歳の段階的2割負担など提案/厚労省
厚生労働省保険局は70−74歳の患者窓口負担について、毎年度の予算措置によって「1割負担」を維持してきた特例措置について、2013年度から法律で定める「2割負担」に戻す方向も含めて検討に入った。11月16日に開いた社会保障審議会・医療保険部会で「世代間の公平を図る観点から見直しを検討する」とした社会保障・税一体改革大綱や、10年12月の高齢者医療制度改革会議最終取りまとめを踏まえ、論点として70歳に到達する人から段階的に本来の2割負担とする案などを示した。出席委員の意見を踏まえ、13年度予算編成に向けて引き続き検討を進める。
保険局高齢者医療課は特例措置見直しの論点を示し、対象者について▽70歳に到達した人から順次2割負担とする▽施行日から70−74歳の全対象者を2割負担とする―の2つの考え方を示した。70−74歳の高額療養費についても、低所得者への対応として自己負担限度額について検討することを部会に求めた。
鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、窓口負担割合の引き上げが受診抑制につながるとの懸念を示し「引き続き1割負担にとどめるべき」との意見を示した。鈴木委員は「引き上げ」で最も懸念されるのは外来の受診抑制だとし、医薬品処方日数の上限撤廃に伴う受診抑制によって「患者の容体悪化に気付かない」「服用忘れ・中断で症状が改善しない」などの問題事例が報告されていると説明。「受診抑制につながることは避けるべき」と主張した。
医療提供側では堀憲郎委員(日本歯科医師会常務理事)も「1割維持」を主張した。ただ出席委員からは、70歳になった人から順次2割負担とする場合、一般的には3割負担の人が2割負担になるため、鈴木委員の主張する「引き上げ」には当たらないとの反論もあった。
齋藤訓子委員(日本看護協会常任理事)は「本則通りの2割はやむを得ない」とした。
支払い側では白川修二委員(健保連専務理事)が「13年度から2割で実行すべき」とし、小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は段階的に2割負担とする考えを支持した。
当事者側は川尻禮郎委員(全国老人クラブ連合会理事)が「反対ばかりしていてはどうにもならない」と述べ、応分の負担に理解を示した。樋口恵子委員(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長)も世代間公平の観点から1割負担の凍結には反対だとし、段階的に2割負担とする案に賛意を示した。(11/19MEDIFAXより)