【医療保険】産科補償の剰余金「保険者に帰属」が前提/ 社保審・医療保険部会
社会保障審議会・医療保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大教授)は7月25日、産科医療補償制度の見直しについて議論した。委員からは「剰余金は保険者に帰属しているとの前提で運用を検討すべき」との意見が複数上がった。制度の見直しについては、出産育児一時金に掛け金分を上乗せしている関係上、同部会が最終的に決定する。
制度を運営する日本医療機能評価機構は、制度創設時に前提とした補償対象者数の推計値を実際の対象者数が下回り、剰余金が発生していることから、掛け金の引き下げが検討されるとの見方を示した。
白川修二委員(健保連専務理事)は、剰余金は出産育児一時金を拠出している保険者に帰属しているため保険者に返還すべきとした上で「法的な問題もあるかもしれないので、将来の保険料に充てるというふうな考え方もある」と述べた。掛け金については「厚生労働省には2014年1月から切り下げをお願いしたい」と求めた。小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は、産科補償制度は社会保険料と税金に基づく公的制度であると指摘した上で、剰余金について「今後の掛け金に充てることが選択肢として考えられる」と述べ、早急に見直す必要性を強調した。
岩本康志委員(東京大大学院教授)は「剰余金は保険者に帰属しており保険者に戻すのが筋で、それ以外の考え方はない」と述べた上で、「掛け金を下げて保険会社にロスが出た場合は剰余金で補填するなど、剰余金が民間保険会社と保険者間で循環する仕組みを検討すべき」と提案した。
鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「掛け金や剰余金の見直しに全面的に反対ではない」とした上で、産科医療の危機的状況を打開するために民間保険会社の力を借りた経緯があるとし、「掛け金、剰余金を見直すなら、併せて補償対象範囲や補償金額も見直すべき」と述べた。(7/26MEDIFAXより)